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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

原発不明がんに初の治療薬 ニボルマブ(オプジーボ)を承認

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がんの1~5% 国内で年に約7000人

 がんと診断された時にはすでに転移しているうえに、元のがんが何か分からない「原発不明がん」に対し、免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」(商品名オプジーボ)」が2021年12月、治療薬として承認された。

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズスクイブ社の発表によると、原発不明がんに対して承認された薬剤は、国内外通じて初めてとしている。医師主導治験をまとめた中川和彦・近畿大学腫瘍内科主任教授が22年1月19日にオンラインで開かれたメディア向けセミナーで、その意義などについて解説した。

 原発不明がん診療ガイドライン(日本臨床腫瘍学会編)などに基づく発表によると、原発不明がんは、がんと診断されたうちの1~5%とされ、国内で1年間に新たに見つかる患者は約7000人とも言われる。

 原発不明がんのうちでも約15~20%は、症状などから原発のがんの種類が推定され、そのがん種に応じた治療が行われることで、治癒が期待される。たとえば、女性の腺がんで腋窩(えきか)リンパ節転移のみの場合は乳がんに準じた治療法を行うなどのケースだ。

 一方、残りの80~85%(予後不良群)においては、標準治療が確立されていないため、「みなし標準治療」としてプラチナ製剤などによる抗がん剤治療が行われたり、臨床試験があればそれに参加したり、緩和的な治療が行われたりしているという。原発不明がんは、がんがすでに転移した状態であり、生存期間は中央値で約6~9か月とされている。

原発巣の探索に時間をかけすぎないことが重要

 このため、原発不明がんにおいては、治療可能な患者(予後良好群)をいかに確実に抽出するかが重要とされる。

 原発巣を特定するための検査に時間をかけすぎてしまった結果、治療の機会を失うことのないようにすることも重要だ。ガイドラインでは、1か月以内に原発巣の同定ができない場合には、原発不明がんとして治療を開始することや、1~2週間の初期評価で原発巣が同定できない場合には、早期にがん専門施設へ紹介することが推奨されている。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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