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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track22】エレベーターの同乗を避けられて――濃厚接触者となった女性に対する「コロナ・ハラスメント」――

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 国内においても新型コロナウイルスのオミクロン株が流行し、感染 蔓延(まんえん) の第6波を迎えています。2020年初頭からの2年間、私たちは、三密を避け、行動を自粛し、感染予防を図ってきました。ただ、本来は感染症との闘いであったはずが、人々の感染不安が高まるあまり、感染者や濃厚接触者、医療従事者などに心無い言葉や差別・偏見のまなざしを浴びせるようなケースも見られます。今回は、私が担当した健康相談の中で遭遇したエピソードです。

突然、「濃厚接触者である」と言われ

【Track22】エレベーターの同乗を避けられて――濃厚接触者となった女性に対する「コロナ・ハラスメント」――

 2021年夏、全国的に新型コロナの蔓延は第5波を迎えていました。飲食店などの営業自粛や音楽や演劇イベントの中止が相次ぐ中、東京オリンピックの開催については賛否両論があり、メディアやSNS上でも多くの論争が起きました。意見が対立する相手への感情的な非難や中傷も見られ、イラ立ちや相互批判の色合いが濃い世情を反映しているようでした。

 そんな7月のある日、会社員の女性ミキさん(29)は地域の保健所からの電話を受け、自身が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者であることを知らされました。数日前に参加した、あるイベントで、近くに座っていた人の中から感染者が判明したためでした。

 ミキさんは 愕然(がくぜん) としました。とうとう自分のすぐそばに感染症が迫ってきたことへの恐怖と、「自身も感染していたら……」という不安に襲われました。保健所の指示通りに受けたPCRは幸い陰性でしたが、2週間の自宅待機を求められました。

 ミキさんは早速、遠方に住む両親、職場、友人に、その旨連絡しました。窮屈な思いはしたものの、看護職の母親から体調の確認や生活のアドバイスを受け、友人からの支援にも感謝しながら、無事に待機期間を終えることができました。翌日から外出もできるし、出勤もできると思うと、解放感に満ちた喜びを感じていました。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 新曲「リンゴの赤」 をリリースした。

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