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福井尚志「ひざの痛み 自力で解消」

医療・健康・介護のコラム

膝に痛みを生じさせ、軟骨を溶かし、水を溜めてしまう「滑膜」とは

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 中年以降の膝の痛みについて書いているこのコラムも今回で4回目になりました。今までに膝の痛みについて、軟骨が減るから痛むという単純なものではなく、痛みが生じる原因はいくつもあって意外と複雑であることを説明してきました。前回は痛みが生じる原因の一つ、骨からの痛みについてでしたが、今回は膝の痛みのもう一つの原因、滑膜というところからの痛みについて説明したいと思います。

関節は「滑膜」という膜に包まれている

膝に痛みを生じさせ、軟骨を溶かし、水を溜めてしまう「滑膜」とは

(上)ほぼ正常の滑膜。滑膜はとても薄いため、その下にある脂肪組織が透けて見えている (下)軟骨が減った関節の滑膜。炎症が起きて赤く腫れあがっている

 体中にいろんな関節がありますが、どの関節も全体が袋に包まれた構造になっています。この袋のことを関節包といいます。関節包の内側は、滑膜と呼ばれる薄い膜で覆われています。この膜は、正常では厚さが1ミリもない、とても薄い組織なのですが、軟骨が減ったり、関節に炎症が起きたりすると、赤く腫れて厚ぼったい組織に変わってしまいます(写真)。

 以前は、この滑膜の変化がどういう意味があるのかはっきりしなかったのですが、今では、膝の痛みや軟骨のすり減りに深く関わっていることがわかっています。

軟骨の破片で滑膜に炎症が起き、痛みが生じる

 中高齢者の関節で滑膜がこのように変化するのは、軟骨のすり減りが原因と考えられています。軟骨がすり減ってくると、軟骨の破片が関節の中に広がります。この軟骨の破片には、老化して質が悪くなった、たんぱく質が含まれていて炎症を引き起こす性質があります。そのため、この破片が滑膜にたどり着くと、それが原因となって滑膜に炎症が起こってしまいます。

 関節の中にある軟骨には神経がほとんど通っていなくて、痛みを感じにくいことは第2回のコラムで述べましたが、滑膜はカラダの普通の組織ですから神経もちゃんと通っていて、そこに炎症が起きると痛みを感じることになります。滑膜からの膝の痛みは、このような理由で生じます。

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福井 尚志(ふくい・なおし)
東大教授が本気で教える 「ひざの痛み」解消法

 東京大学大学院総合文化研究科教授。

 1960年生まれ。東京大学医学部卒。整形外科専門医。医学博士。独立行政法人国立病院機構相模原臨床研究センター客員研究員。日本整形外科学会、国際変形性関節症学会会員。ひざ関節の疾患を専門とし、特に変形性ひざ関節症については20年以上にわたって研究を続けている。
 『東大教授が本気で教える 「ひざの痛み」解消法』(中央公論新社、1540円)を監修。

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