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過去の接種券「提出急いで」…未提出だと3回目接種が遅れる可能性

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東北大学が実施した職域接種。接種券を持たずに接種を受け、その後も大学側に提出しない対象者は多い(昨年6月、仙台市で)=東北大学広報室提供

 企業や大学で昨夏以降に実施された新型コロナウイルスワクチン(1、2回目)の「職域接種」を受けた人たちが、接種券を職場などに提出しないケースが相次いでいる。未提出だと自治体に接種情報が伝わらず、3回目の接種が遅れる可能性がある。変異株「オミクロン株」の感染が拡大する中、政府は3回目接種の前倒しを求めており、自治体や企業・大学は「早期に提出を」と呼びかけている。(古屋祐治、児玉森生)

督促しても

 昨年6月に職域接種をスタートした慶応義塾大学。学生や教職員、清掃業者らが対象で、9月までに約5万人が2回の接種を受けた。だが、昨年12月9日現在で、約1割にあたる5000人前後が接種券を提出していないという。慶応義塾広報室は「対象者にはメールなどで提出を呼びかけ続けているが、なかなか提出してくれない人も多い」と困惑する。

 東北大学でも学生ら約1万2500人が接種を受けたが、昨年10月の2回目接種終了後の段階で約2600人が未提出だった。大学側でメールや電話で督促を続けているが、現在も約170人分が未提出という。

事後提出

過去の接種券「提出急いで」…未提出だと3回目接種が遅れる可能性

接種券のイメージ図=仙台市提供

 職域接種では、接種を受けた人が、自治体から送られてきた接種券を企業や大学に持参して提出することになっている。

 企業・大学側は、提出された接種券の番号を読み取り、政府の「ワクチン接種記録システム(VRS)」に登録。その上で、券本体と予診票を、接種者の居住自治体に送る。この手続きを経て、自治体は「住民のうち誰が職域接種を受けたか」を把握できる。

 一方で、昨夏の1、2回目ワクチンを巡っては、接種スピードを上げるために「券がなくても接種可」「後日、手元に届いた段階で提出してほしい」とする会場も目立った。しかし、券が届いた後も提出していない人は多い。

 グループ社員を含めて約4万1600人が職域接種を受けたJR東日本では、今も400人弱が接種券を提出していないという。日本航空でも数百人が接種券を未提出だといい、両社とも「対象者に提出を呼びかけている」としている。

困惑

 職域接種の接種券が提出されなければ、大学や企業がVRSに登録できず、券本体も送付されないため、自治体は「誰が職域接種を受けたか」が分からない。

 この結果、実際には職域接種で2回目まで終えていたとしても、3回目の接種券が発行されないという事態が起きてしまう。政府は今月、職域接種の前倒しを発表したが、接種券を発行する自治体からは困惑の声も上がっている。

 さいたま市には、昨年12月以降、職域接種で接種を受けた人から「自分のワクチン接種記録が国のアプリなどで確認できない」といった問い合わせが相次いでいる。この中には、接種券を提出していない人も含まれているとみられ、市の担当者は「3回目の接種券を送ることができなければ、接種が遅れる。手元に接種券が残っている人は、少しでも早く企業などに出してほしい」と訴える。

 仙台市には、職域接種の実施機関から「接種券の未提出者が多い。どうすればいいか」といった相談も寄せられているといい、市は「3回目の接種券が届かず、本人の接種が遅れてしまうことを説明してあげて」と実施機関に求めている。

医療機関への支払い 遅れも

 コロナワクチンの接種費用は全額国費でまかなわれ、企業・大学から接種券とともに自治体に送られてくる予診票に基づいて、接種を担った医療機関に支払われる。このため、接種券の未提出は、医療機関への支払いの遅れにもつながる。

 厚生労働省によると、職域接種は1月9日時点で約4000会場で実施され、計1933万回が終了している。

 しかし、1月初旬の段階で、接種費用が自治体に請求されたのは約1600万回分で、約330万回分がまだ請求されていない計算となっている。

 企業や大学から自治体への送付手続きが遅れていることも考えられるが、厚労省の担当者は「接種券の未回収で医療機関への支払いが滞っているケースも少なからずあるとみられる。対象者は早急に提出してほしい」と話している。

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