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沖縄での社会活動「綱渡り状態」…行政のPCRは1週間待ち、民間検査場は連日長蛇の列

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 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が続く沖縄県では、検査を早期に受けられない事態に陥っている。社会経済活動に欠かせない「エッセンシャルワーカー」の感染や濃厚接触による欠勤も相次ぎ、業務の継続が綱渡りになっている。(木村雄二)

■長蛇の列

沖縄での社会活動「綱渡り状態」…行政のPCRは1週間待ち、民間検査場は連日長蛇の列

感染拡大で連日、長蛇の列ができているPCR検査場(13日、那覇市で)=中司雅信撮影

 土産物店や飲食店が軒並みシャッターを下ろした那覇市の国際通り。にぎわいが消えた通りで、民間のPCR検査場前だけは連日、長蛇の列ができている。

 「息子は濃厚接触者なのに行政の検査がすぐに受けられず、ここに来た」。15日に長男(6)と列に並んでいた那覇市の男性会社員(48)はため息をついた。

 長男の通う市内の認定こども園で11日に感染者が確認され、長男は濃厚接触者と認定された。しかし、園からは、行政の検査は 逼迫ひっぱく して1週間待ちとの連絡を受けた。

 男性の勤務先のコールセンターは職員約10人の半数が感染や濃厚接触で欠勤中で、男性も社内規定によって長男の陰性が確認されなければ出勤できない。長男に感染を疑わせる症状はないが、「感染の有無が分からないのは不安だし、出勤もできない」と焦りを募らせていた。

 県は1日最大約2万6000人分の検査体制を整えたが、スタッフ不足などで1日約2万人分の実施にとどまっている。県民向けの無料検査などで需要は急増しており、濃厚接触者など本来、優先度が高い検査に時間がかかっている。

■「休み返上」

 検査の目詰まりは、社会機能を担う現場の人手不足に拍車をかけている。

 県中部の高齢者施設では、約50人の職員のうち10人が感染や濃厚接触などを理由に欠勤。外国人技能実習生が入国できないことによる現場の人手不足をさらに深刻化させている。

 入所者の入浴を1日1回から3日に1回に縮小。食事も栄養に留意しながら3食から2食に減らしてサービスを維持している。

 政府は14日、濃厚接触者の待機期間を14日間から10日間に短縮し、エッセンシャルワーカーについてはPCR検査なら6日目、簡易な抗原検査なら6日目と7日目に陰性が確認できれば待機を解除できると決めた。施設では、PCR検査を検討したが、早期に受け付けてくれる検査機関が見つからず、17日に急きょ抗原検査キットを20個買い集めた。運営責任者は「検査を進めて職員を早期に復帰させたい」と話す。

 人手不足は消防や乳幼児施設にも広がる。

  与那原よなばる南風原はえばる 、西原の3町をカバーする「東部消防組合」は職員計94人のうち9人が感染などで欠勤し、救急車6台のうち1台が出動できない状態だ。荷川取良武・第1警備課長(59)は「休み返上の職員もいて綱渡りの状態」と話す。

 医療現場では、新型コロナの重点医療機関21施設のうち8施設で一般外来を制限。那覇市の保育園や幼稚園などの乳幼児施設246か所のうち40か所(12日時点)は職員不足などで休園に追い込まれている。

■県外にも依頼へ

 約9000人に上る自宅療養者への宅配サービスも綱渡りの状態だ。

 感染者宅にレトルト食品やトイレットペーパーなどを無料で「置き配」している南風原町社会福祉協議会では職員4人が欠勤している。食料支援を担当する稲福泰一さん(47)は「このままのペースで欠勤者が増えれば、支援を続けられるか分からない」と話す。

 食料や日用品の配達を担う物流業者のトラック運転手も欠勤が続出し、業務が逼迫している。

 濃厚接触者の早期の職場復帰には、検査できる件数を増やすことが必要だ。県は、県外の検査機関にもPCR検査を依頼する方向で調整するとともに、事業者らに抗原検査キットの活用も呼びかけている。

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