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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

「あなたは子どもがいるけど、私は一人もいないのよ!」体外受精をいやがる離婚歴のある夫にどなってしまった

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8回目の人工授精も陰性

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 「これでもう、絶対に妊娠できると思っていたんです。でも人工授精をしても、やっぱり妊娠できなくて……」。それから毎月、排卵日を特定して人工授精を行っても、毎月訪れる生理のたびに絶望し、「もう自分は妊娠できないんじゃないか」とまで思いつめてしまったそうです。

 そして8回目の人工授精の結果が残念ながら、またも陰性で終わってしまったとき、医師から「これで妊娠できないとなると、体外受精が適応になると思います」とついに言われました。Kさんは内心、「そこまでしないと妊娠できない体なのかと思うとショックを受けましたが、それと同じぐらい、体外受精をすれば今度こそ妊娠できる、と大きな希望を抱いた」と言います。

「体外受精は反対。自然に任せたらいい」と夫

 しかし、夫はそうではありませんでした。「体外受精までするのは反対だ。もしこれでできないのだったら、自然に任せたらいい」と言ったそうです。夫がKさんに反対することはめったにないことだったのでKさんは驚き、理由を聞いてみたそうですが、「理由は特にないけれど、金額も桁違いになるし、そこまでして子どもが欲しいとは思わない。できなかったら2人で仲良く暮らせばいい」の一点張り。ついにKさんは、口にしてはいけないと思いながらも、「あなたには自分の子どもがいるからいいでしょうけれど、私にはまだ一人も子どもがいないのよ! どうして私の気持ちを尊重して協力しようと思ってくれないの?!」とどなってしまいました。夫はひどく悲しそうな顔をして、黙ってしまったそうです。

 「とても傷つけてしまっただろうと思うので、謝りはしたんですけれど、どうしてもそれからギクシャクしてしまって……。悪かったとも思っているけれど、私だって傷ついたのにと思うと、意地を張ってしまって、ちゃんと話ができていないんです。このままだと2人ともつらいし、どうしたらいいのか……。離婚も視野に入れたほうがいいのかな、とまで考えてしまうんです」と、Kさんは涙を目に浮かべながら話しました。

不妊治療が2人の絆にほころびを作ることも

 妊活や不妊治療は、時に愛する2人の絆にほころびを作ってしまうことがあります。ましてや今回のようなケースは、余計にこじらせてしまうことにもつながってしまうでしょう。しかし、こういう時こそ、2人の未来をちゃんと話し合って、2人で考えて決めていくことが大切だと私は思います。人は結構、肝心なことを普段の会話では話せていません。こういう時こそ、本当に大切なこと、2人にとって重要課題となりうることを心を開いて話すことが必要でしょう。それは、2人の今後を決めていく、大切な要素になりえます。

 Kさんもその後、夫とよく話し合い、しばらく治療を休んで2人で将来設計をゆっくり話し合ってみることにしたそうです。子どもがいてもいなくても、幸せな2人の未来を作っていけますようにと願っています。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長)

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチング連盟マスター認定コーチ

松本亜樹子(まつもと あきこ)

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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