Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」
医療・健康・介護のコラム
抗がん剤治療の予定を変えて旅行に行ってもいいですか?
治療が人生よりも優先されることはあってはならない
「そんなことはなかなか医者に伝えられない」と思っている方が多いかもしれませんが、自分が大事にしていることは、診察室で大いに語った方がよいです。治療のことしか考えていない医者も多いので、患者さんまでそうなってしまったら、「治療のための治療」になりかねません。治療のために生きているわけではなく、自分らしく生きるために治療を行っているわけですから、治療を受けることで何を目指しているのかを忘れないためにも、ぜひ、話題にしていただきたいと思います。どんな場面でも、治療そのものが人生よりも優先されることがあってはなりません。
ここまで、あえて、新型コロナウイルスのことには触れずに書きましたが、今はまだコロナ禍が続いており、かつてのようには旅行を楽しめないという方も多いと思います。「抗がん剤のせいで旅行に行けないということはないのですが、コロナのことを考えると、今は難しいですよね」なんていう説明を何度もしました。早くコロナ禍を脱し、みんなが旅行を楽しめるようになるように、という願いもこめて、このテーマを取り上げた次第です。
「がんがあるから」に加えて、「コロナがあるから」で、より制限があるように感じている方が多いと思いますが、がんがあっても、誰もが自分らしく生きる権利があるというのが、今回お伝えしたかったことです。そして、そろそろ、社会全体で、「コロナがあっても」の過ごし方についても考えていく必要があるのだと思っています。(高野利実 がん研有明病院乳腺内科部長)
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