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Dr.高野の「腫瘍内科医になんでも聞いてみよう」

医療・健康・介護のコラム

抗がん剤治療の予定を変えて旅行に行ってもいいですか?

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治療が人生よりも優先されることはあってはならない

 「そんなことはなかなか医者に伝えられない」と思っている方が多いかもしれませんが、自分が大事にしていることは、診察室で大いに語った方がよいです。治療のことしか考えていない医者も多いので、患者さんまでそうなってしまったら、「治療のための治療」になりかねません。治療のために生きているわけではなく、自分らしく生きるために治療を行っているわけですから、治療を受けることで何を目指しているのかを忘れないためにも、ぜひ、話題にしていただきたいと思います。どんな場面でも、治療そのものが人生よりも優先されることがあってはなりません。

 ここまで、あえて、新型コロナウイルスのことには触れずに書きましたが、今はまだコロナ禍が続いており、かつてのようには旅行を楽しめないという方も多いと思います。「抗がん剤のせいで旅行に行けないということはないのですが、コロナのことを考えると、今は難しいですよね」なんていう説明を何度もしました。早くコロナ禍を脱し、みんなが旅行を楽しめるようになるように、という願いもこめて、このテーマを取り上げた次第です。

 「がんがあるから」に加えて、「コロナがあるから」で、より制限があるように感じている方が多いと思いますが、がんがあっても、誰もが自分らしく生きる権利があるというのが、今回お伝えしたかったことです。そして、そろそろ、社会全体で、「コロナがあっても」の過ごし方についても考えていく必要があるのだと思っています。(高野利実 がん研有明病院乳腺内科部長)

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高野 利実 (たかの・としみ)

 がん研有明病院 院長補佐・乳腺内科部長
 1972年東京生まれ。98年、東京大学医学部卒業。腫瘍内科医を志し、同大附属病院や国立がんセンター中央病院などで経験を積んだ。2005年、東京共済病院に腫瘍内科を開設。08年、帝京大学医学部附属病院腫瘍内科開設に伴い講師として赴任。10年、虎の門病院臨床腫瘍科に部長として赴任し、3つ目の「腫瘍内科」を立ち上げた。この間、様々ながんの診療や臨床研究に取り組むとともに、多くの腫瘍内科医を育成した。20年、がん研有明病院に乳腺内科部長として赴任し、21年には院長補佐となり、新たなチャレンジを続けている。西日本がん研究機構(WJOG)乳腺委員長も務め、乳がんに関する全国規模の臨床試験や医師主導治験に取り組んでいる。著書に、かつてのヨミドクターの連載「がんと向き合う ~腫瘍内科医・高野利実の診察室~」をまとめた、「がんとともに、自分らしく生きる―希望をもって、がんと向き合う『HBM』のすすめ―」(きずな出版)がある。

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