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ジョコビッチ騒動で賛否両論…セルビア大統領は「まるで大量殺人者の扱い」

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 【ローマ=笹子美奈子、ジュネーブ=森井雄一】男子テニス世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)が、新型コロナウイルスのワクチンを接種していないために全豪オープンの出場断念に追い込まれた問題を巡り、欧州を中心に賛否両論がわき起こっている。

ジョコビッチ騒動で賛否両論…セルビア大統領は「まるで大量殺人者の扱い」

17日、ドバイの空港を歩くジョコビッチ選手(ロイター)

 「まるで大量殺人者のような扱いだ」。セルビアのアレクサンダル・ブチッチ大統領は英BBCにこう語り、オーストラリア政府の対応を批判した。

 ジョコビッチ選手は今月5日、ワクチン未接種の状態で豪州に到着して入国を拒否され、法廷闘争を経て、大会開幕前日の16日に国外退去が決まった。

 感染防止のため全渡航者に厳しい制限が課される中、スター選手だけを特別扱いするわけにはいかないというのが豪州政府の主張だ。SNSでは「規則を守るのは当然だ。未接種者は国に帰れ」と支持する声も少なくない。これに対し、欧州ではセルビア以外の国でも「自由のために戦った勇者だ」などとジョコビッチ選手を擁護する声が聞かれる。

 欧州ではもともと、ワクチン接種に関して一部に強い拒絶反応がある。フランスでは今月、マクロン大統領がワクチン未接種者を強く非難したところ、各地で猛反発を招いた。15日には、ワクチン接種に反対する人々が、パリで「ジョコビッチに自由を」と叫びながらデモ行進した。

 ドイツでも、政府内でワクチン接種の義務化を目指す動きがあるのに対して反対論が噴出し、先月には、「必要なら武器を取る」とSNSに書き込んだ反対派グループの関係先が警察の捜索を受けた。義務化を阻止するための政治家殺害計画まで表面化している。

 東欧諸国はキリスト教の東方正教会信徒が多く、教会の指導者は、ワクチン接種に否定的な傾向がある。セルビアは国民の86%がセルビア正教会の信徒だ。

 ジョコビッチ選手も熱心な信徒として知られ、一昨年4月にはSNS上で「個人的にはワクチン接種に反対だ。渡航のために強制されたくない」と語っていた。

 西欧諸国の大半は接種率が70%を超えているのに対し、東欧や旧ソ連圏はポーランド58%、ウクライナ34%など低水準にとどまる。セルビアは48%だ。

 ロイター通信は、政府機関や医療制度に対する国民の信頼の弱さも一因だとする専門家の見方を紹介している。ジョコビッチ選手の騒動を通じ、接種率を巡る東西格差も浮き彫りとなっている。

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