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国は毎週のように方針変更・想定していた…3回目接種「前倒し」に困惑も
新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を巡り、64歳以下の一般の人についても、2回目との接種間隔が現行の「原則8か月以上」から1か月短縮されることになった。施設入所者などを除く一般高齢者もさらに1か月前倒しとなるほか、12歳未満の接種も3月から始まる見通し。オミクロン株の感染が急拡大する中、接種を進める自治体からは歓迎の声が相次ぐ一方、度重なる政府の方針変更に戸惑いも広がる。

練馬区で進んでいる3回目のワクチン接種の様子(今月6日、区立石神井公園区民交流センターで)
12歳以上の区民の約9割が2回目接種を終えた東京都練馬区は3回目接種に向け、集団接種会場を新たに4か所用意。診療所などの個別接種も合わせると、最大で月22万回の接種が可能になる。一方で、今回の前倒しと12歳未満への接種開始により、3月の接種対象者は約6万9000人から約24万6000人へと3・6倍に膨れあがる。
接種能力を上回る計算になるが、同区住民接種担当課の中島祐二課長は「大規模接種や職域接種に一定数が流れる」として、接種の前倒しは可能とみている。ただ「2月までの接種が滞ると、3月の接種を圧迫することになる。しっかりと準備を進め、接種を呼びかけたい」と気を引き締める。
千代田区も3月の接種対象者が2倍近く膨らむ。しかし現状は予約枠に空きがあるといい、担当者は「さらなる前倒しを想定して準備を進めてきた。迅速かつ柔軟に対応したい」と歓迎する。
目黒区は一般高齢者のほとんどが2月末までに3回目接種を完了するため、3月の接種予定者が大幅に減る見込みだった。前倒しとなれば、3月分が埋まるため、担当者は「確保している集団接種会場をそのまま有効活用できる」と喜ぶ。
一方で、急な対応に追われる自治体も多い。
台東区は14日、区民にワクチン接種時期の目安を知らせるチラシを急きょ修正した。この日がちょうど校了日だったといい、区新型コロナウイルスワクチン接種担当課の桜井敬子課長は「何とか間に合って良かった」と胸をなで下ろした。
「毎週のように国の方針が変わるので、区民が混乱しかねない」と嘆くのは葛飾区の担当者。すでに発送した接種券には、3回目の接種時期として2回目から8か月が経過した日付を記載しているため、区民からは「結局、自分はいつから打てるのか」と問い合わせが相次いでいるという。個別接種を担う医療機関からも「予約をどう受ければいいのか」と困惑する声も寄せられており、担当者は「正確に接種時期を周知しなければ」と話す。
世田谷区の担当者も「接種券の発送スケジュールをまた組み直さないと」と困惑していた。
12歳未満 懸念も
政府は3月から、12歳未満への接種を始める方針を示すが、不安視する人も多い。
「子供に接種するのは危ないのではないか」。中央区には区民からそんな問い合わせが寄せられている。医師の間でも子供への副反応を懸念する声があがっているといい、区の担当者は「保護者が子供への接種を控える可能性がある」とみる。
また、12歳未満には投与量を3分の1に減らして接種することから、豊島区は12歳以上の接種と混同しないように、集団接種会場の一部では、12歳未満専用の時間帯を設ける予定だという。品川区の担当者も「複雑な運用になりそうだ」と話していた。
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