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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

過度のマッサージも原因に!? 立ち上がると起きる頭痛や吐き気は「脳脊髄液減少症」かも

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スポーツなど外力によって生じることも

 脳脊髄液の減少によって起こると考えられる頭痛については、1938年に、ドイツのシャルテンブラントが「髄液無産生症」として報告。その後、76年には、ラバディらが脳脊髄液の漏れが病態の本質であるとした。なお、90年代以降には画像診断技術の進歩に伴い、頭部MRI(磁気共鳴画像)で脳表面を覆っている硬膜が厚くなっているのを確認すること、RI脳槽造影で早期 膀胱(ぼうこう) 集積(くも膜下 (くう) に注入した放射性同位元素が、通常よりも早く膀胱に集まること)を確認することなどが診断基準として用いられるようになった。奈良県立医科大学麻酔科の研究は、CT(コンピュ-タ断層撮影)脊髄造影が有用であると結論し、脳脊髄液の漏れが疑われる場合、硬膜外腔(脊髄の背側にある空間)への造影剤の 貯溜(ちょりゅう) を確認できれば診断は確実としている。しかし、これらの技術をもってしても、脳脊髄液の漏れを確認できない患者さんがおられることも事実である。

 発症初期であれば、1~2週間程度の安静と点滴によって治ることが多い。水分を多く取ることもひとつの手である。鎮痛薬の服用はあまり効かない。ペインクリニックでは、重症例に対して、漏れを生じている部位の硬膜外腔に、患者さん自身の血液10~20ミリ・リットル程度を注入してふたをする硬膜外自家血パッチを行っている。

 スポーツ障害や、カイロプラクティックで頸部に過度のマッサージを行ったことで生じるとする報告もある。外力によって髄液圧が一時的に上昇することで、脊髄から出る神経を包んでいる膜が破れて発症すると考えているのだ。

 いずれにしても、診断と治療には専門的知識を要する。まずはペインクリニックや神経内科、脳神経外科などを受診されることをお勧めしておく。(森本昌宏 麻酔科医)

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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