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天竜川の舟下り、3月末で終了か…後継企業探し難航
長野県飯田市の天竜川で観光船「天竜舟下り」の運航を手がけるバス会社「信南交通」(飯田市)は11日、市内で記者会見を開き、舟下り事業から今年3月末で撤退する方針を明らかにした。新型コロナウイルスの影響でバス事業の収益が大幅に落ち込んでいるためで、赤字が続く舟下り事業を手放し、バス事業の再生を急ぐ。舟下りの事業を引き継ぐ企業探しは難航しているという。
記者会見した同社の中島一夫社長(64)によると、高速バスや地元の乗り合いバス、貸し切りバスに、舟下り事業などを加えた同社の売上高は、コロナ前の2019年度に26億3000万円あったが、21年度には8億7000万円に減少。中でも主力の高速バス事業の売上高は10億8500万円から2億2000万円に落ち込んだ。
これまで保有するバスの一部を売却したり、再雇用した運転手を減らしたりするなどしてきたが、「会社として存続できるかどうかの瀬戸際」(中島社長)として、バス事業の再生を優先し、舟下り事業から撤退することで金融機関と大枠合意したという。
物流手段として始まったとされる舟下りだが、1960年代から同社が観光船として運航。別会社に渡った時期もあったが、2011年度から再び同社が運航していた。飯田市の天竜川約6キロを木造船で下る爽快感などが人気となり、市に残る記録では02年度のピーク時は約13万6000人が乗船した。その後は減少し、19年度の6万1000人から21年度には1万8000人まで落ち込み、赤字も増大していた。近年では、かき入れ時の夏場の増水や渇水などで運航できない日も増えていたという。
中島社長は「舟下りが地域観光にとって非常に大事だと重々承知しているが、私どもの力不足で運航できないのは申し訳なく思っている」と述べた。舟下り事業に携わる社員や船頭らは関連会社などへの配置転換を促す方針。
市産業経済部の串原一保部長は取材に「市や一つの企業が単独で受け皿となるのは困難。存続を願うなるべく多くの協力者に声を上げていただき、いかに事業継承ができる態勢を作れるかが大事になる」と話した。
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