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オミクロン株「全員入院」見直し進む…都道府県、病床逼迫回避へ

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 新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による感染急拡大で、各都道府県が同株の感染者を「全員入院」させる方針から宿泊・自宅療養の活用へと転換を急いでいる。病床の 逼迫ひっぱく を避けるためだが、感染力が強いとされるオミクロン株は感染者が自宅にとどまると家庭内感染が広がる懸念もあり、悩ましい対応を迫られている。

自宅療養、家庭内感染懸念も

■個室で受け入れ

オミクロン株「全員入院」見直し進む…都道府県、病床逼迫回避へ

オミクロン株感染者が使うウイルスの飛散を防ぐ特殊な車いすを調整する医師ら=東京医科歯科大病院提供

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大阪府が整備した臨時医療施設の内部(昨年11月、大阪市内で)

 「入院、宿泊・自宅療養。いずれの人にも都として万全の体制を整えていく」。7日夜、東京都の小池百合子知事はそう強調し、原則、全員入院の方針からの転換を表明した。

 オミクロン株感染者について厚生労働省は当初、全員入院を原則とするよう都道府県に求めていた。しかし感染者の増加で現実的に方針維持が難しく、5日、自宅・宿泊療養も認める方針を通知した。

 東京都の最大確保病床は8日時点で6919床で、入院患者数は658人。病床使用率は9・5%だが、この日の新規感染者数はすでに1200人を超えた。抽出検査では7割近くがオミクロン株とみられ、全員入院では早晩、病床のやりくりは厳しくなる。

 医療機関側の事情もあった。厚労省では同株感染者について厳格な隔離を求めてきた。デルタ株の感染者らは複数人を同じ病室で受け入れることが可能だが、オミクロン株では原則、個室で受け入れる必要がある。

 同株感染者を受け入れている東京医科歯科大病院では、空気が外に漏れないよう「陰圧装置」を備えた個室に入院させ、移動時にも陰圧装置が付いた特殊な車いすを使用しているが、個室は3室しかなく「感染の波が急カーブになると対応が難しくなる」(柴田翔医師)状況だった。

■半数が転換

 厚労省によると通知翌日の6日時点で、47都道府県のうち20道府県が方針を転換した。その後、東京都に加え、千葉県や埼玉県も追随し、少なくとも半数の都道府県は既に全員入院から切り替えた。

 ただし、感染力がデルタ株の3~5倍ともされるオミクロン株は、自宅療養者から同居家族らへの感染が懸念される。厚労省は自宅療養の条件に、飲み薬の投与や訪問診療の体制が整っていることなどを挙げているが、容体急変時への対応には不安が伴う。

 そのため東京都は当面、自宅療養は極力減らす考えで、方針転換に合わせて宿泊療養施設の拡充を進める。第5波の昨年9月1日時点では受け入れ可能人数は約3400人だったが、これを倍以上の約7900人に引き上げる予定で、担当者は「宿泊療養なら、体調が急変した場合にすぐに医療につなげられる」と説明する。

 大阪府も全員入院を見直すのに合わせ、現在約1万室ある宿泊療養施設の活用に加え、満室が近づけば大阪市内に昨年10月末に整備した大規模臨時医療施設「大阪コロナ大規模医療・療養センター」(1000床)を稼働させる方針だ。

■ケア仕組み急ぐ

 一方、神奈川県は、宿泊療養施設での受け入れは、高齢者や感染リスクが高い同居者がいる人などにある程度限定し、広く自宅療養を認めていく考えだ。

 現在確保している宿泊療養施設は約2100室あるが「無尽蔵に増やすことはできない」(担当者)ためで、自宅でも十分にケアできるよう、医師会や訪問看護ステーションと連携を進める。

 新潟県も宿泊療養施設が約300室しかない上、即座の拡充は難しい状況だ。担当者は「家庭内感染のリスクは理解しているが、一定程度は自宅療養とせざるを得ない」とし、「自宅療養者が外出しないよう食事支援などに取り組み、そこからさらに広がるのを防ぎたい」と強調した。

 国際医療福祉大の松本哲哉教授(感染症学)は「基本的には自宅よりも宿泊療養が望ましいが、オミクロン株の感染力を考えれば、宿泊療養施設もすぐに満室になる恐れがある。各自治体は今の段階から、自宅療養者の健康管理やケアの仕組みづくりを急ぐ必要がある」と話している。

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