産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
ワーク・ライフ・バランスの実現には、企業幹部の若返りが必要か
高ストレスの社員と面談した時に、ある時、若手男性社員から言われた言葉がとても印象に残りました。「先生、やはり子どもの入浴くらいは父親としてしたいですよ。大切なスキンシップですから」。それから小さいお子さんがいる社員と面談する時には、折にふれ「子どもさんと入浴されていますか」と尋ねています。男性がどの程度子育てにかかわっているのか、「ワーク・ライフ・バランス」の実践度合いを測る時の参考のひとつになるからです。
プロジェクトチームに抜擢されたが…
ストレスチェックで「高ストレス」と判断され、産業医面談を希望して訪れたのは企画部員で32歳の大仲次郎さん(仮名)です。彼の会社では事業再編の一環として、役員会で決まった新規事業をプロジェクトチームで取り組むことになりました。彼はそのメンバーに 抜擢 されました。チームリーダーは取締役開発部長の白木浩さん(同)です。
チームは彼以外に、営業や経理なども含め13人の混成部隊。1年で結果を出すよう厳しく求められていて、メンバーは仕事を家に持ちかえり、休日出勤もする状態です。大仲さんの時間外労働は月100時間超えでした。大仲さんには疑問がふつふつと湧いてきます。「こんな疲弊してしまう働き方はおかしい。みんな家庭はどうなっているのだろう」。メンバーである営業課長に、「働きすぎではないでしょうか?」と相談したら、「社にとって重要なプロジェクトだから、そんなことを言っている場合じゃない」と言い返されました。
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