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東ちづる 山あり谷ありダイアリー

医療・健康・介護のコラム

まさに天敵!? がんよりも手術よりも…点滴が恐ろしい

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看護師さんと悪戦苦闘

まさに天敵!? がんよりも手術よりも…点滴が嫌すぎる

きれいに撮れた点滴のしずく。20枚ぐらいトライした1枚

 看護師さんには、これで伝わります。間違いなく、ベテランさんがお越しくださいます。そして、私の両腕を交互に審査し、血管との相性を確かめてくださいます。だいたいの看護師さんが、うーんとうなっちゃいます。

 私だって努力を怠りません。針ウェルカム大作戦です。ホッカイロを腕にあて温める、バーベルを握ったつもりで肘から腕を上げ下げ、手のひらグッパッグッパ、「うまくいきますように」と神頼みしたりと、できる限りの準備をします。

 それでも、看護師さんは血管をにらみつつ、「細いわね」「奥のほうね」「逃げるわね」と、両手にブスブスと何度も針を刺すことになります。針を刺したまま、縫うように血管を探すこともしばしば。入った!と喜んだのもつかの間、液が血管から腕の中で漏れていたりします。 

 痛いです。涙が頬を伝います。看護師さんの額に汗がにじみます。お互いに「ごめんなさいね」と謝っちゃったりします。最終的に、手首の内側や手の甲に針を刺すこともあります。その位置によっては、手が自由に動かせなくなります。

一滴の美しさ…「生」を実感

 そんな苦労の末に私とつながってくれた点滴は、いとおしいものです。チューブから針を通って、血管へ入り、体に染みていく、その一滴一滴は、本当にありがたい。それに、美しい。特に昼間の点滴。窓から刺す光が、点滴パックから落ちる一滴をキラキラと輝かせます。

 針も血管も細いので、通常よりも時間がかかります。その分、「生きてるなあ」としみじみします。写真もスマホで何十枚も撮りました。ドラマチックに撮れた写真はテンションも上がります。看護師さんにも自慢げに見せ、笑いながらも感動。一緒に闘った同志ですから。

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東ちづる(あずま・ちづる)

俳優。 一般社団法人Get in touch代表。 広島県出身。会社員生活を経て芸能界へ。ドラマ出演や司会、講演、出版など幅広く活躍。骨髄バンク支援等のボランティアを30年間続けている。2012年、アートや音楽、映像、舞台等を通じて、誰もが自分らしく生きられる“まぜこぜの社会”を目指す一般社団法人 Get in touchを設立。記録映画「私はワタシ over the rainbow」、演劇プロジェクト「月夜のからくりハウス」(ともに動画をVimeoで配信中)などの企画・プロデュースを手がけ、自らも出演している。『東京2020NIPPONフェスティバル』のひとつとして世界に配信される「MAZEKOZEアイランドツアー」(無料配信中)の総合構成・演出・総指揮を担当。著書に、母との葛藤を乗り越えるまでの体験を綴った『〈私〉はなぜカウンセリングを受けたのか~「いい人、やめた!」母と娘の挑戦』、エッセー集『らいふ』など。

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1件 のコメント

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東さんの「点滴は怖い」に同感

浪花のコーチャン

私も胃がんで2回も手術入院しましたが、東さんと同様に点滴だけが嫌いでした。1回目の手術直前の病室での点滴では、看護師さんが交代して四苦八苦したた...

私も胃がんで2回も手術入院しましたが、東さんと同様に点滴だけが嫌いでした。1回目の手術直前の病室での点滴では、看護師さんが交代して四苦八苦したため、内視鏡室に点滴スタンドをゴロゴロと必死に押して、急いで向かったのを思い出しました。また、利き腕側に点滴を入れられた際のトイレ利用にも四苦八苦でした。母が入院した際、点滴による両手、両足の皮下出血が、とても痛々しかったのも記憶に残っております。医療業界の皆様にどうかお願いいたします。点滴確保の画期的な手技とツールの開発に努力していただくよう希望します。

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