田村専門委員の「まるごと医療」
医療・健康・介護のコラム
コロナ禍で働く人の不安・イライラは改善傾向も、身体の不調は悪化の傾向 目立つ女性や若者
頭痛や胃腸の不調など体の不調の訴え増加
それによると、精神健康の状態は全体的に第2波の流行があった20年8月の調査時点で一時的な悪化が認められ、その後は横ばいの傾向にあった。抑うつ感は横ばい、不安感やイライラ感は改善の傾向にあった。
一方、身体的な不調の訴え(めまい、節々の痛み、頭痛、首・肩こり、腰痛、目の疲れ、動悸(どうき)・息切れ、胃腸の不調、食欲低下、便秘・下痢、不眠の11項目)は、新型コロナの流行開始以降、悪化している傾向がみられた。
第5波収束で女性に改善の傾向も
男女別にみると、女性は男性よりも、活気の喪失やイライラ感、疲労感、身体の不調の訴えがコロナ前から悪く、流行開始以降も悪い状態が続いている。ただ、第5波が落ち着いた21年10月時点の調査では、女性は不安感の大幅な改善などもみられ、女性は社会的な状況の変化の影響を受けやすい可能性もあるとして、今後の詳しい検討が必要としている。
年代別では、40、50歳代に比べ、20、30歳代の若い年代で悪い時点が多くなっている。特に身体の不調の訴えで、流行に伴って世代間の格差が拡大していく傾向がみられた。
産業医で、研究チームの同分野博士課程の佐々木那津さんは、「新型コロナの流行は、女性や若年者といった社会的な弱者に対してより強く影響を及ぼしている傾向がみられる。今後も調査を続け、長期的な影響に関する検討が必要だ」としている。(田村良彦 読売新聞専門委員)
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