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[俳優 河相我聞さん](上)衝撃!お父さんは人殺し? 2時間ドラマの犯人役に大泣きした息子も芸能界へ
「理想」がなければ気持ちも楽に
――「こういう大人に育ってほしい」なんて考えたことは?
ないですね。いい大学行ったりとか、いいところに就職したりとか、本人が望んでそうなったのであれば、それはそれでうれしいけど、別にそうじゃなくてもいいんです。2人が生まれた時も、とにかく楽しい人生を送れるよう、元気に育ってくれればいいと思っていました。
もしかしたら、子育てを心底つらいと思ったことがないのは「こうなってほしい」という気持ちがないからかもしれませんね。
子どもに期待とか理想とかを持つということは、自分がなしえなかったことを押しつけてしまう場合も多いでしょう。自分はこうやって苦労したから、あなたには苦労してほしくないという親心であっても、理想を掲げてしまうと、親も子どもも苦しくなるんじゃないでしょうか。
――沙羅さんも唯円さん(芸名・竜跳)も、自身の意思で芸能の道に進んだのですね。
それぞれ芸能事務所へのお誘いを受けたので、本人に話してみたら、2人とも「やる」って。僕としては「え、やるんだ」と、意外でしたが。特に長男は僕の仕事は嫌なんだろうなと思っていたので。
彼がまだ幼い頃、僕は2時間ドラマの犯人役をやることが多かったんですよね。ある日、家に帰ると大泣きしてるんですよ。テレビをつけたら、僕が硫酸のような劇物を女性の顔にかけるというとんでもないクズ男を演じているのを見たそうで。慌てて「仕事なんだよ」と言ったのですが、それを「人を殺すのが仕事なんだ」と思っちゃったみたいで。
――それはショックでしょうね……。でも、河相さんのお話からは、人生に対する前向きな気持ちを感じます。息子さんたちがお父さんの仕事をポジティブにとらえるようになったのもよく分かります。
こんな常識外れの10代、20代を送ってきた自分でも、けっこう楽しく生きてますからね。子どもたちだって、人の道に外れることさえしなければ、どんな方向に進もうとなんとかなると思ってます。
かあい・がもん 1975年、埼玉県生まれ。「天までとどけ」(91年)、「時をかける少女」(94年)、「未成年」(95年)などのテレビドラマで話題を集める。バラエティー番組や映画、舞台にも出演多数。歌手、ドラマーとして音楽活動も。2017年には大人気のブログを書籍にした『お父さんの日記』(宝島社)が出版された。オフィシャルブログ「聞いてくれ、もうガモンできない。」。2022年1月12~23日、東京・六本木の俳優座劇場で上演される舞台「マウストラップ」に出演予定。
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