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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

女性に多い尿潜血 健診で「陽性」でも症状なし…放置して大丈夫?

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腎臓結石や腎臓・膀胱腫瘍の可能性も

 学生時代からしばしば指摘され、過去に精密検査でなんでもなかったという女性も多いだろう。そういった無症状の女性は尿検査の結果に大きな変化がなければ、心配することはない。しかし初めて指摘されたのであれば、必ず再検査のため近所のかかりつけ医を受診してほしい。

 最初の受診は内科でも泌尿器科でも構わない。再検査では、採尿し、試験紙法に加え遠心分離をした尿の成分を顕微鏡で観察する。尿沈査といわれる検査で、実際にどのくらいの数の赤血球が尿中に出ているかをカウントする。

 一視野に5個以上の赤血球が見られれば、念のため精密検査が必要になる。精密検査としては腎臓・ 膀胱(ぼうこう) の超音波検査と尿の細胞診検査がある。いずれも苦痛を伴う検査ではない。腎臓結石や腎臓・膀胱の腫瘍がないかを診断する検査だ。

「問題なし」確認して安心

 尿潜血陽性だけであれば、原因疾患としてよくあるのは腎臓結石であろう。腎臓結石については必ず治療が必要なわけではないので、慌てずに医師と相談しよう。もしも他に腫瘍などの可能性があれば泌尿器科専門医への紹介、精密検査が必要となる。尿潜血に加え尿たんぱくが(++)以上出ているなら、腎臓の病気も考慮し、腎臓内科専門医への受診をお勧めする。

 Bさんは再検査の結果、尿たんぱくは陰性、尿潜血反応は(±)だったが、尿沈査で一視野に赤血球が4個以下と正常であったため、次回は定期健診で尿検査をすればよいこととなった。Bさんは検査を受けたことで、もやもやしていた気持ちも晴れたといい、笑顔で帰っていった。(常喜眞理 医師)

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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