文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

社会

社会

十分な調査せず校長ら「いじめはなかった」…元生徒「ウソばかりつかれ、すごくつらかった」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

 埼玉県の川口市立中学校でいじめを受けて不登校になった元男子生徒(19)が、学校と市教育委員会の対応が不適切だったとして市に慰謝料など550万円を求めていた訴訟で、さいたま地裁は15日、市に対し、55万円の支払いを命じる判決を言い渡した。いじめ防止対策推進法で義務づけられた調査をしなかったことなどを国家賠償法上の違法と結論づけたほか、市側が否定したいじめ行為や体罰行為も認定した。

 判決では、元生徒が不登校となって30日以上となった時点で市はいじめ防止対策推進法の「重大事態」と位置づけ、詳細な調査を行う義務があったのに、その後2か月以上も重大事態として扱わなかったと指摘。岡部純子裁判長は「重大事態と認知するべき時に認知しない裁量があるとはいえない」とした。

十分な調査せず校長ら「いじめはなかった」…元生徒「ウソばかりつかれ、すごくつらかった」

息子のコメントを読み上げる森田さん(15日、県庁で)

 また、元生徒がサッカー部の仲間から襟首をつかまれ引き倒されるなどしたことをいじめ行為と認めたほか、顧問の体罰も認定。これらが不登校の要因となったとした。十分な調査をしないまま、校長や教頭、顧問が「いじめはなかった」などと同部の保護者らに伝えたことも、「ありもしない訴えだという意味につながり、登校のさらなる障害になることが容易に予想できる」などとし、職務上の義務違反とした。

 市側は今回の判決について、「判決を精査し、対応を検討する」としている。

 元生徒側の代理人弁護士は、訴訟での市側の対応も批判。市教委の第三者委員会で事務局を務めた職員を市側の証人として出廷させたことを挙げ、「(中立な立場にいたのに)被害者側に不利な証言をするというのは、重大事態の調査の信頼性を揺るがしかねない」と非難した。

元生徒「ウソばかりつかれ、すごくつらかった」

 判決を受け、元生徒は「いじめられたことよりも、絶対に助けてくれると思った顧問や校長、市教委に助けてもらえず、ウソばかりつかれたことがすごくつらかった」とコメントした。

 このコメントは、母親の森田志歩さんが県庁で同日記者会見を開いて読み上げた。実名を公表したうえでの活動に息子の賛同を得たといい、「学校や市教委の対応の違法性や義務違反が認められ、大変うれしい。元の息子の姿を返してほしい」と語った。

 元生徒の母親の森田志歩さんは、虚偽有印公文書作成容疑などで告発していた当時の校長らをさいたま地検が不起訴(嫌疑不十分)としたことを受け、13日付で検察審査会に審査を申し立てた。告発状では、息子が不登校になる前の被害を巡る協議文書に、当時の武南署員2人と校長がうそを記したなどとしていた。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

社会の一覧を見る

最新記事