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医療・健康・介護のコラム

『年をとったら食べなさい』 佐々木淳著

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『年をとったら食べなさい』 佐々木淳著

 健診を受けては、肥満や血圧、コレステロール値を気にする生活を長年続けていると、年を取ってもその意識は変わらない。日本で最も幅広く在宅医療を行う、つまり多くの弱ってしまった高齢者の診療をしている医療グループを率いる医師の著者は、それは間違いだと言う。「年を取ったら血圧や血糖値を気にし過ぎるよりも食べること。食事は質より量」とデータを基にわかりやすく説明している。日本に寝たきり高齢者が多いのは、やせすぎが原因なのだ。

 本書では、まず、高齢者がやせることの問題点を解説する。やせると筋肉量が減って骨折しやすくなり、肺炎の危険も高まる。結果として、やせた高齢者は寝たきりになりやすい。だから「ちゃんと食べることが最高の薬」と言う。そう言われても、年を取るとどうしても食が細くなりがちだ。

 そこで著者は、シニア版の食事術を提案する。「1にカロリー、2にたんぱく」を合言葉にマクドナルドや吉野家のメニューは「理想的な食事」とする。「食欲がない時は、チョコレートやアイスクリーム」「お総菜はいかにもカロリーが高そうなものを選ぶ」……これまでの健康な食事の常識を180度変えるような提案だ。本当にそれでいいのか?と思ったら、本書を読めばその意味がよくわかる。

 「年を取ったら食べなさい」という高齢者の栄養指導が自治体でも広がりつつある。一例を挙げると、健診で75歳以上高齢者の体重が1年で2キロ以上減ったら栄養士が訪問するところがある。「お好きなら、ポテトチップや菓子パンもいいですよ」といった指導をしている。やせ防止の栄養指導を始めることで、寝たきりになる人が目に見えて減る実績を上げ、本書の主張は実証されつつある。

 佐々木さんは今年2月まで、読売新聞の医療・健康・介護サイト「ヨミドクター」で、コラム 「訪問診療にできること~最期まで人生を楽しく生き切る~」 を連載していた。この連載でも訴えてきた内容を、本書では、どんな食事を選んだらいいかという方法も含め、より具体的に紹介している。大きな活字で、身内に高齢者を持つ人にもぜひ読んでいただきたい一冊だ。

 (1400円、飛鳥新社)

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