がんのサポーティブケア
医療・健康・介護のコラム
骨転移でも車いすに移れる手段を考案 作業療法士としてがん患者を支える
安部能成・千葉県立保健医療大学リハビリテーション学科准教授に聞く
がん患者の闘病を支える「がんの支持医療」について専門家に聞く「がんのサポーティブケア」。第12回は、作業療法士として千葉県がんセンターで長年、がん患者のリハビリテーションに取り組んできた安部能成(かずなり)・千葉県立保健医療大学リハビリテーション学科准教授がゲストです。進行がんで骨転移がある患者でも、車いすへの移乗を可能にするリハビリの取り組みなどについて話を聞きました。(聞き手・田村良彦)
精神科リハビリテーションから予想外の転進
――安部さんが、がん患者のリハビリに取り組むようになったきっかけは何だったのですか。
私はもともと精神科リハビリテーションを志していて、精神医学の勉強や臨床経験を積んでいたのですが、縁あって千葉県に新設された作業療法士養成学校の教員として赴任し、精神科作業療法を教えていました。それが5年目に県の人事異動で突然、千葉県がんセンター勤務を命じられたのがきっかけです。
――それまで、がん患者へのリハビリ経験はなかった?
全くありませんでした。所属は整形外科だったのですが、理学療法士もおらず、病院としても初めてのたった一人のリハビリ専門職だったので、何をやるのか具体的な仕事についても自分で考えて決めるしかない状態でした。
最初に手がけたのは、実は患者の禁煙支援でした。もともと依存症の分野は得意でしたので禁煙成功率も高く、医師にも患者にも大変喜ばれました。
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