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スマホ操作で発症も…「腱鞘炎」予防するには?

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 親指を動かすと付け根辺りの手首が痛む「 腱鞘けんしょう 炎」は、 狭窄きょうさく 性腱鞘炎(ドケルバン病)と呼ばれます。スマートフォンの操作で親指や手首を使う機会が増えており、意識して手を休ませるなど予防を心がけることが大切です。(村上和史)

スマホ操作でも

 「アキレス腱」などで知られる腱は、筋肉の端を骨につなぎとめる組織です。筋肉が収縮する力を骨に伝え、関節を動かす役割があります。腱がたるまないように固定しているのが、「腱鞘」です。トンネルのような形状をした腱鞘の中を腱が通っているイメージです。

 親指側の手首には、腕の筋肉と親指の骨をつなぐ2本の腱が延びています。腕の筋肉と連動し、親指を伸ばしたり、横に広げたりといった動きが可能となります。

 通常は、この2本の腱が腱鞘の中をスムーズに通りますが、腱鞘炎になると、腱と腱鞘がこすれあって炎症が起きます。腱鞘が腫れて分厚くなると、腱が圧迫され、通りが悪くなります。その結果、手首に痛みが出たり、熱を感じたりします。

 原因は、親指や手首の使いすぎです。

 パソコンのキーボードやマウス、筆記用具をよく使う職業の人のほか、ピアニスト、美容師、スポーツ選手などの患者が多いことがよく知られています。近年は、スマホやタブレット端末の操作が発症の引き金になるケースが増えています。朝から晩までスマホを触っている人は要注意です。

女性に顕著

 この病気は、女性に目立ちます。女性ホルモンの減少が炎症と関係しているとの指摘があります。産後の女性は、赤ちゃんの抱っこなどで起こりやすいです。

 親指や手首にかかる負担を減らすため、手を休ませる時間を設けることが予防につながります。例えば、スマホの操作を1時間続けたら10分ほど休憩したり、もう一方の手で操作したりすることを習慣付けてみましょう。

 手首に痛みがあるなら、腱鞘炎かどうか、自分でチェックできる方法「アイヒホフ・テスト」があります。親指を中に入れて「グー」の状態にし、小指の方向に手首を傾けます。痛くてできない場合は、整形外科を受診する目安になります。

 軽度の段階では、腱鞘の炎症を鎮める湿布や塗り薬を使い、安静にします。

 ただし、仕事などで親指や手首を普段からよく使う人は、手を休ませられず、悪化することがあります。痛みが1か月ほど続いた時は、炎症を抑えるステロイド剤を腱鞘に注射します。注射は1回で済み、そのまま治るケースもあります。親指や手首を固定する装具(サポーター)を使うこともあります。

 ステロイド剤で改善しなかったり、再発を繰り返したりする場合、腱鞘を切り開き、腱の通りをよくする手術も選択肢となります。手術は局所麻酔で、30分程度で済みます。ただし、手術が必要となるケースはまれです。軽い段階からしっかり治すことが重要です。

 北野病院(大阪市)整形外科副部長の平雄一郎さんは、「手首に違和感があるならば、早めに近くの整形外科を受診し、専門医に診てもらいましょう」と話しています。

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