がん患者団体のリレー活動報告
医療・健康・介護のコラム
NPO法人Cansur Linkaid(キャンサーリンケイド)
NPO法人Cansur Linkaidは、北海道内のがん経験者や家族のためのWebサイト「キャンサーテラス」を運営するために2015年に発足しました。会の名前は、can(できる)+ survive(生きる) & link(つながり)+ aid(援助)の意味を込めた造語です。人や情報がつながることが未来を開く第一歩となる。そのような思いで、背伸びをせず、できることを積み重ねながら活動を続けています。
北海道のがん経験者らのためのサイト
サイト「キャンサーテラス」は、道内のがん経験者や家族が匿名で参加し、情報交換ができるソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「ふわりガーデン」と、地元のがんに関するイベントや患者会・サロンの情報を提供するページ「情報ツールボックス」の二つで構成されます。
北海道は、同じ道内でも時に飛行機で移動するほど広く、拠点病院まで泊まりがけで通院する方もいます。患者会やサロンに参加できない患者さんやその家族も多くいらっしゃるので、サイトを開設しました。「ふわりガーデン」には現在、北海道内各地から20~70歳代の約100人が登録されています。男性が3割、女性が7割。がん経験者本人が75%、家族が25%です。
「オフ会」で関係を深める
当初は、それぞれが思い思いに日記という形で書き込みをしていましたが、続けるうちに、それだけで関係を深めるのは難しい面が見えてきました。一方、ここで出会った人同士が居住地域で、実際に会って交流できるサロンを開設するなど、地域活動につながったケースもありました。そこでSNS参加者による対面での交流会(オフ会)を始めることにしました。
オフ会は各地域に出向いてテーマを決めずに交流会を行い、その後、希望者で少々お酒ありの食事会を開くという、「ふわりガーデン」という名称通り、ふわりとした会にしています。オフ会を通して顔が見える関係になることで互いの相互理解が深まり、知らず知らずのうちに支え合いになっていく印象がありました。
サクランボ狩りやイベント参加も
時には参加者の発案で家族ぐるみで、サクランボ狩りに出かけました。日本対がん協会が主催する患者・家族支援イベント「リレー・フォー・ライフ」にチームを作って参加したこともあります。様々な形で交流するようになりました。
つらいことも自然体で話し合える
オフ会参加者の声を紹介します。
《いつも考えるのですが、なぜオフ会に参加しようと思うのか。短い時間で、互いに励まし合うことも少ない会合なのですが、不思議と居心地が良く、安心できます。家族や病院についての「ここだけの話」、当事者でないと理解できない治療上のつらさの話などについて語り合います。がんの種類が違っても何か感じ取れるものがあります》
《ハンドルネームを知っていたので、初対面でも旧知のように楽しく過ごせました。状況はそれぞれ違いますが、それでも皆が同じサイトにいる仲間という感覚のせいか、つらいことも厳しいことも自然体で話し合うことができ、心地よい時間でした。SNSを通じて遠くても交流できるのは良いですが、リアルにお会いして交流できると、より親しみが増します》
《普段はSNSでしか、やり取りをしないので、おのおののお顔を拝見できて安心しました。SNSの時代とは言え、顔が見えない限界があります。やはり、オフ会みたいな人のぬくもりを感じる方が良いですね》
今はコロナの影響により集まることができなくなりましたので、オンライン交流会を何度か開催していますが、これもなかなか敷居が高いようです。SNSは出会うきっかけやつながりを作る目的で継続しつつ、今後、どのような道に進むべきか、模索しています。
NPO法人Cansur Linkaid
北海道医療大学のがん看護教育に携わる教員が中心となり、IT企業やがんサバイバーも参加して2015年に結成された団体。北海道に暮らすがん経験者と家族のためのwebサイト「キャンサーテラス」を運営し、SNSによる交流や情報発信の場づくりをしている。現在、SNSへの参加者、ともに活動してくださる方を募集している。
北海道に暮らすがん経験者と家族のためのWebサイト「キャンサーテラス」
このコーナーでは、公益財団法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。
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