新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
グルコーストランスポーター1欠損症 一日のうちでも変わる症状 患者会作成のガイドブックに
おいしいとは言えないケトン食 どうやったら食べてもらえるか悩み
「レシピを考えるのも大変ですが、決しておいしいとは言えない食事をどうやって食べさせるかも大変でした」
ケトン食に切り替わった十数年前を振り返って、古田さんは言う。
「レシピは、栄養士さんのアドバイスもあって、ある程度考えられるようになったけど、高脂質を目指し、調味料も自由に使えず、炭水化物はほとんどない料理ですから、おいしくもなく、嫌がることも度々。どうやって食べてもらえばいいのか、外食や学校給食はどうしたらいいのか、日々の生活のことで悩みが多く、同じ病気の子どもを持つ『仲間』と話がしたかったです」
そもそも根治治療がない病気であり、頼れる人もほとんどいない。そうなると、患者同士の日常生活に関する情報交換が欠かせない。
今から13年ほど前に、娘さんの病気が確定して間もなく、同じ病気の子どもを持つ数人とインターネットでつながった。この病気は、身体の成長とともに、症状が変化する場合もある。先輩たちの経験はとても役に立っている。
この集まりが、「グルコーストランスポーター1欠損症」になった方々が集まる「glut1(グルットワン)異常症患者会」という患者・家族の会の前身である。
医師や栄養士向けに病気の広報活動
まずは、小児神経を専門とする医師たちに、この病気の概要を知ってもらう必要があった。日本国内での患者数は現在、200人程度と言われている。この病気の患者を診たことがない医師が多く、てんかんなどと誤診されたまま、適切な治療を受けられていない患者が多いと予想されている。
「症状は、てんかんに似ているものの、脳の栄養不足がすぐに体の機能に表れてくるんです。突然、脱力して歩けなくなるとか、いったん悪化しても食事や休憩を取ると回復することがあったら、この病気を少し疑ってほしいと思います」
確定診断を受けられる患者が増えるように、医師が参加する医療の学会でも、広報活動を広く行っている。
また、ケトン食療法には栄養士の支援が欠かせない。しかし、一般的な栄養士がケトン食について知る機会はほぼない。そこで、栄養士へ向けた広報活動も継続して行っている。
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