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医療・健康・介護のコラム

『心理職のための産業保健入門』 小山文彦編著

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『心理職のための産業保健入門』 小山文彦編著

 新型コロナ感染症に世界が 翻弄(ほんろう) された2021年だった。

 秋ごろから新規感染者が激減した日本国内では、「さあ、これから!」と前向きになりかけた矢先、今度は「オミクロン株」への不安が広がりつつある。すぐに株式市場が動揺したように、再び社会活動が失速しないかが懸念される。

 昨今、「コロナうつ」という言葉を耳にすることが多くなった。

 とくに社会人にとっては、それまで当たり前だった日常生活が、長期間にわたって制限されたことで、メンタル面の不調を訴えるケースが珍しくないという。一方、テレワークの導入など、働き方が多様化した反面、運動不足による肥満や足腰の衰えを実感する人も多いと聞く。会社などの組織で、社員・スタッフらの健康管理を担当する人には、頭の痛い時代が続きそうだ。

 本書は、精神科医としてヨミドクターで人気コラム 「ココロブルーに効く話」 を執筆中の小山文彦・東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授が編著者となって、各職場で社員らの心理支援や健康管理を担当する人向けに書かれた入門書。「です、ます」調のやわらかい文章で、「職場のメンタルヘルス対策」「健康管理活動」「体調を崩した人に対する治療と仕事の両立支援」などはもちろん、産業保健で知っておきたい法律の知識、労働衛生管理の手法など、幅広い分野をコンパクトにカバーする。ヨミドクターのコラム同様、小山医師の真骨頂ともいえる、現実の職場で起きたケースワーク集も、豊富な事例を使って問題の改善に向けた的確な道筋を提示している。

 専門職だけでなく、組織内で部下を抱えていたり、チームをまとめたりする立場の人にとっても役立つ一冊だろう。

 (金剛出版 3080円)

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ヨミドクター編集室が注目する新刊書を紹介します。医療、健康、介護、福祉関連の書籍を幅広く取り上げていきます。

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