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新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行

医療・健康・介護のコラム

グルコーストランスポーター1欠損症 脳が栄養不足に ケトン食なしでは生活できず

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食事制限 年齢や活動量、体質などに応じて

グルコーストランスポーター1欠損症 脳が栄養不足に ケトン食なしでは生活できず

小学生の頃から毎日お弁当を持参した。左上は生クリーム。右下は治療用特殊ミルクでつくった蒸しパン(古田さん提供)

 「普段から、調味料にさえも気を配らないとならないし、いくらお正月だからといってもなかなかねぇ」

 この病気の患者には、年齢や活動量、体質など一人一人に合わせた制限があるという。栄養の専門家であっても、病気についての知識がなければメニューを組み立てられないそうだ。

 この病気に対応した食事を「ケトン食」という。個々の制限に合わせたレシピ本などはほとんどない。

 そんな状況の中で、古田さんはお子さんの毎回の食事について考えているのだから、驚かされる。

最初は「よくある『てんかん』だろう」と言われ

 「18年間も大変だよなぁ」と思ったが、乳児期は、そもそも何の病気かすらわからなかったという。

 「最初は、よくある『てんかんだろう』と言われていたんですけど、全身の脱力などもあるし、なんか違うなぁと思っていました。5歳の時、たまたま診てくれた医師が、最近参加した勉強会で同じ症状の事例を聞いたということで、検査を依頼してくれたのが診断のきっかけでした」

 グルコーストランスポーター1欠損症。医師であっても知らない可能性がある病名だという。

 「奇跡的だったと思うんです。見つけてくれた医師には感謝しています」

 もう13年ほども前のことになるが、いまでもその気持ちを大切にしている。

 ただ、病名が確定しても診られる医師や支援できる栄養士はほとんどいなかった。今も、片道200キロ・メートルほど離れた病院へ通院している。

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鈴木信行(すずき・のぶゆき)

患医ねっと代表。1969年、神奈川県生まれ。生まれつき二分脊椎の障害があり、20歳で精巣がんを発症、24歳で再発(寛解)。46歳の時には甲状腺がんを発症した。第一製薬(現・第一三共)の研究所に13年間勤務した後、退職。2011年に患医ねっとを設立し、より良い医療の実現を目指して患者と医療者をつなぐ活動に取り組んでいる。著書に「医者・病院・薬局 失敗しない選び方・考え方」(さくら舎)など。


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