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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

HIV陽性者1543人の声 古い知識による差別も…健康と生活に関する全国調査

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TOKYO AIDSWEEKS 2021

 治療薬の進歩によってHIV陽性者の9割以上が1日1回の服薬で治療できている。「6か月間以上HIVウイルスが検出限界以下であれば、他の人にHIVが感染することはない」ことについて、「知っている」と答えたHIV陽性者は6割弱だった――。

 若林チヒロ・埼玉県立大学教授(健康行動科学専攻)が分担研究者を務める厚生労働科学研究費研究班は、1543人のHIV陽性者の声を集めた「第4回HIV陽性者の健康と生活に関する全国調査」をまとめた。

 12月1日の世界エイズデーに合わせて様々なイベントが開かれている「TOKYO AIDSWEEKS 2021」において、 5日にライブ配信された「YouTubeぷれいす東京チャンネル」で、若林さんらが結果の概要を報告した。

21歳から81歳まで 平均年齢46・7歳

 調査は、2003年度から5年ごとに実施され、今回が4回目。2019~20年度にかけ、全国を8つに分けた地域ごとの拠点病院と、今回は初めてHIV専門の診療所(東京都内の2か所)を加えた計10医療機関の協力を得て、アンケートした。2555人に調査票を配布し、1543人から回答を得た(回答率60.4%)。

 調査項目は、受療行動やこころの健康など健康に関するもの、人間関係や就労、高齢期の生活などの生活・人生に関するもの、さらに薬物・ドラッグについてなど多岐にわたる。

 回答者のほとんどは男性だが、女性も5%ほどいた。感染経路は同性間の性的接触が約8割で、異性間の性的接触も1割近くあった。

 年齢は21歳から81歳と幅広く、平均は46・7歳。拠点病院同士で前回までの調査と比較すると、10年ほど前は30歳代が年齢のピークだったのが、「高齢化」が進んでいることが見て取れる。

 HIV感染は、かつては若い人がかかる病気というイメージだったが、治療薬の開発などによって、適切な治療を続けているHIV陽性者の余命は一般人とほぼ変わらないとされる。長生きできるようになったとともに、高齢化への対応も新たな課題になっている。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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