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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

HIV陽性者1543人の声 古い知識による差別も…健康と生活に関する全国調査

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「ウイルス量が検出限界以下なら他人へ感染させることはない」 知っている約6割

 健康状態などについての質問では、免疫の働きを示す指標である「CD4」の数値が500以上と答えた人が5割を超え、HIVウイルス量が検出限界以下と答えた人は8割近くに上り、ともに以前の調査に比べて大きく改善していた。7割以上の人が3か月以上に1回の通院で、9割以上の人が服薬回数は1日1回だった。

 HIV感染をめぐっては近年、治療によってウイルスが検出限界以下(Undetectable)であれば、他人へ感染させることはない(Untransmittable)ことが科学的に証明され、「U=U(ユーイコールユー)」というキャッチフレーズが掲げられている。

 この情報について、「6か月間以上HIVウイルスが検出限界以下であれば、他の人にHIVが感染することはない」ことを知っているかどうかの質問では、「知っている」と答えた人は56.6%だった。

 また、「治療継続しているHIV陽性者の余命は、一般人とほぼ変わらないレベルまで延びている」は86.6%、「親がHIV感染していても、適切な予防をすれば、子どもがHIVに感染することなく出生できる」は64.2%が、「知っている」と答えた。

社会の人々こそ知識のアップデートを

 HIV陽性当事者でも、U=Uの知識がある人は6割弱だったことについて、若林さんは「若い世代では7割を超えており、年齢やインターネットを使えるかどうかも大きいと考えられる」と話す。HIV陽性であることをだれかに伝える際、U=Uの情報も一緒に伝えることは、誤解や偏見を生まないために有用だという。

 一方、一般の人への世論調査では、こういった知識を知っていると答えた人は、3割弱との結果もある。若林さんは、「一般の社会の人々こそ、HIVに関するこういった知識のアップデートが必要だ」と強調する。

 病気や障害を持って生活する上で制約を受けるなどしているかの質問では、食事などの生活習慣や恋人との関係や出会い、結婚や子どもを持つことなどについて「制約あり」との答えが明らかに減少した。若林さんは「前回までの調査ではあまり変化がみられていなかった『制約』について、今回の調査で初めて改善傾向がみられた点は評価できる」と話す。ただ、就労面での制約についてはあまり改善が見られず、「社会の質にかかる部分での遅れが表れている」と指摘する。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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