産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
医療・健康・介護のコラム
上司に怒りを感じたら…うまくかわして、楽に対処する方法とは?

イラスト 赤田咲子
人は「感情の動物」と言われます。感情は喜怒哀楽で表出されますね。最も難しいのが怒りの感情の処理です。働く人なら上司との付き合いの中で怒りを覚えることもあるでしょう。なぜなら仕事でのかかわりが強く、顔を合わせ、同じ場所に長時間いるからです。上司には力があるので、部下は対処に悩みます。怒りへの対処を「アンガーマネジメント」と言うこともあります。直属の課長からの注意や指示から生ずる怒りの対処について、どうすれば良いか。二つの事例を紹介します。
課長は書類の細かい不備に何度もダメ出し
25歳の上田太郎さん(仮名)はメーカーの総務課で勤務しています。朝一番、直属の上司の井上課長(同)から呼ばれました。提出した書類について、細かい注意です。上田さんには内容ではなく、ささいな点ばかりのように思えます。今までも同じような指摘を受けていましたが、多忙でもあり、意識して改めることはしませんでした。きちょうめんで細かいことにこだわる課長と合わないとも考えていました。
きつい表情で、上から目線で注意されるので、彼は、心の中で「またか、細かいなぁ。このまま通してくれればいいのに、内容はしっかり書いてあるんだから」と怒りの気持ちが、わき上がっています。課長も彼の態度に反発を感じているのでしょう。「今後、同じミスをしないようにしろ。要件はそれだけだ」と声を強めて言いました。
飲みに行っても怒りは収まらない
席に戻った上田さんは、終日、怒りの感情がおさまらず、仕事が手につきません。そのままの気持ちで帰りたくない彼は、居酒屋へ直行。酒を飲みながら「ついてないなぁ。神経質な課長にネチネチ言われてムカツク」と思いながら飲んでいます。お酒の量も増えます。
上田さんは怒りを自分の力で処理しようと思い、うまくいかず内向させています。ストレス解消としては、あまり適切ではありません。
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