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サックス侍、街行く人に癒やしのメロディー…聴き入る女性「顔は見えないけど優しい音色」

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サックス侍、街行く人に癒やしのメロディー…聴き入る女性「顔は見えないけど優しい音色」

栄の中心部で演奏するサックス侍さん(名古屋市中区で)

 名古屋市の繁華街で、顔を覆う「 浪人笠ろうにんがさ 」をかぶり、着物姿でサックスを奏でるストリートミュージシャンがいる。「サックス侍」と名乗る男性は「コロナ禍で先行きが見通せない中、街行く人たちの心を音楽で癒やしたい」と路上に立つ。(杉本要)

 週末の昼下がり、名古屋・栄の交差点近くで、ソプラノ・サックスの繊細なバラードの調べに道行く人が足を止め、聴き入った。1時間近くたたずんでいた女性は「顔は見えないけど、優しい人柄が音色からあふれ出ている」と涙を浮かべた。

 名古屋市に住む44歳。電気設備会社に勤め、妻と高校生、中学生の2人の子どもがいる。路上ライブは5年ほど前に始め、土日を中心に場所を決めず、愛知県内の駅前などに立つ。レパートリーは、中島みゆきの「時代」やマイケル・ジャクソンの「ヒール・ザ・ワールド」などポップスを中心に100曲以上にのぼる。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、昨年7月から、 飛沫ひまつ 防止にとフェースシールドの代わりに笠をかぶる今のスタイルにした。謎めいた姿と心を打つ音色が話題となり、動画や画像がSNSで拡散され、ツイッターのフォロワー数は5万を超えた。

 男性がサックスに出会ったのは中学生の時。米国の人気サックス奏者ケニー・Gさんの奏でる優美な音色にひかれた。大学進学後にアルバイトをしてためたお金でサックスを購入し、音源を繰り返し聞くなど独学で練習した。就職などで音楽から遠ざかった時期もあるが、子育てが一段落して演奏を再開した。

 2年半ほど前、名古屋市北区の駅前で、涙を流して演奏に耳を傾ける50歳代ぐらいの女性がいた。女性は声を詰まらせながら話しかけてきた。「夫が病気で余命宣告を受けたところでした」。それまで、ただ好きでサックスを吹いてきた。「その音色に、人の感情を揺さぶる力がある」と気づいた。

 名古屋市など主催のアーティスト公認制度「ナゴヤポップアップ・アーティスト」に合格し、10月からは公認パフォーマーとしても活動。各種音楽イベントへの出演も増えてきた。「嫌な気持ちや不安を抱える人たちが、ふと立ち止まってくれるような音楽を目指したい」。新型コロナの感染状況を見ながら、年末年始も路上で演奏するつもりだ。

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