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抗体カクテル、重症化予防に「1時間でも早くと考えて投与」…24時間態勢・在庫100人分保管

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 大阪府内で新型コロナウイルス患者を最も受け入れている医療機関の一つである関西医科大総合医療センター(守口市)の中森靖・副病院長が読売新聞の取材に応じた。軽症・中等症向けの抗体カクテル療法について、今夏の第5波では徹底した早期投与が重症化予防に奏功したといい、「1日でもというより、1時間でも早くと考えて投与した」と語った。第6波に備え、往診などで支援する宿泊療養用のホテルで医療機能を強化していることも明らかにした。(佐々木栄、東礼奈)

抗体カクテル、重症化予防に「1時間でも早くと考えて投与」…24時間態勢・在庫100人分保管

抗体カクテル療法の早期投与などについて語る中森靖・副病院長(大阪府守口市で)

 同センターは、府内で最大規模となるコロナ対応病院で、重症42床、軽症・中等症16床の計58床を確保する。抗体カクテル療法は、国が特例承認した10日後の7月29日に導入し、これまでに入院患者91人、外来患者267人、宿泊療養者90人など計約460人に実施した。

 薬剤は国が買い上げ、医療機関に配布している。患者ごとに利用申請するのが基本で、原則1~2日後に配送される仕組みだ。早期投与のネックになったが、8月前半だけで入院患者約50人に実施。こうした実績が国に評価され、8月下旬には府内で最多となる100人分を在庫として保管しておくことが認められた。

 投与は発症から原則7日以内となっているが、「コロナは増殖スピードが速い」と判断し、患者の陽性が判明した当日に実施できるよう24時間態勢を取った。中森氏は「待たずにすぐ投与できるため、在庫を確保できたのは大きかった。府内の新規感染者がピークだった9月上旬には不足しそうになった」と振り返る。

 入院患者だけでなく国に認められた外来投与を8月27日に開始。患者が嫌がっても「すぐに来てほしい」と説得し、7割が発症4日以内に投与できたという。

 外来投与には医療圏を超えて大阪市保健所からも依頼が相次いだ。大阪市内の患者が146人と半数を占める結果となったが、中森氏は「府内の病床 逼迫ひっぱく を防ぐには大阪市内の患者を早期治療し、重症化を防げるかがカギだ。第5波で保健所と連携できたことは次の備えにつながる」と語る。

 今後の感染再拡大については「このまま収束するとは思えない。そろそろ高齢者はワクチンの効果が薄れてくる」と指摘。新たな変異株「オミクロン株」で爆発的な感染拡大が起きることが懸念されるが、「ホテルでの診療を強化できれば、重症化予防の拠点になる」と強調する。病床が不足することも想定し、チームで往診する大阪市内のホテルでは、抗体カクテル療法に加え、肺炎患者向けの抗ウイルス薬「レムデシビル」を使える体制も整えた。

 さらに中森氏は「高齢者施設でも抗体カクテル療法が使える体制を早急に作りたい」と話している。

  ◆抗体カクテル療法= 新型コロナウイルスの増殖を抑える2種類の抗体を混ぜ合わせた薬剤を投与する。当初は点滴だけだったが、注射も認められた。投与後に起きる可能性があるアレルギー反応などに対応するため、対象は入院患者に限られていたが、宿泊療養施設や外来、往診でも投与できるようになった。

大阪の実績、全国普及へ貢献

 抗体カクテル療法は7月19日に厚生労働省が特例承認したが、当初は安全性を考慮し、使用方法は限定的だった。その後、早期投与を可能にするため、全国的に次第に緩和されたが、その過程では大阪府内の医療機関での使用実績が判断材料として活用された。

 大阪府では、医療崩壊の危機に直面した今春の第4波を教訓に、第5波では早期治療を徹底。抗体カクテル療法は、関西医科大などが迅速に導入し、積極的に活用した。同大は8月中旬、約50人分の治療データを厚労省に提出。「入院でなくても安全に行える」と判断できる結果で、外来や往診でも投与を認める動きを後押しした。厚労省の担当者は「全国でスムーズに使える仕組みを作る上で、大阪府内での実績や意見は参考になった」と話す。

 8月下旬には、投与実績が多かった大阪府と東京都の一部の病院にまとまった在庫を持たせる国のモデル事業が開始。府内では関西医科大のほか、りんくう総合医療センター(泉佐野市)に40人分、大阪急性期・総合医療センター(大阪市)と大阪市立 十三じゅうそう 市民病院(同)に各10人分が先行的に配分された。府内で在庫を持つために登録する医療機関は現在138か所に拡大している。

 一方、11月には濃厚接触者の発症予防などに使うことも認められたが、今後拡大の恐れがあるオミクロン株の影響が懸念される。大阪大の宮坂昌之名誉教授(免疫学)は「ウイルスの変異で効果が下がる可能性があり、詳しい分析が必要だ」と指摘している。

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