常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
季節外れの手足口病…子供から感染 発熱や手のひら・足裏の発疹、大人は重症化しやすく
30歳代後半のSさんは咽頭痛と手のひら、足裏の発疹が痛いと来院された。保育園に通う1歳の長女が一昨日発熱し手足口病と診断されているという。長女は元気になったが、今度はSさんが感染してしまった。
原因ウイルスは複数
手足口病とは喉、口、顔まわりや手足に数ミリの 水疱 性の発疹ができるウイルス疾患だ。原因となるウイルスは一つではなく、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどいくつかの種類が知られている。
これまではおおよそ2年に1度、夏に流行が見られ、今年は流行する可能性のある年だった。夏の新型コロナウイルス第5波の頃は、子供たちの間でほんの少し見られたが、新型コロナが落ち着いた秋になって増加傾向になっている。
最近は季節性ウイルス感染症の時期が変化し、季節感がなくなってきていたが、新型コロナが台頭したことでますます変化が激しいように感じる。夏も冬もなく様々なウイルス疾患が混在する昨今だ。
ウイルス型で症状に差
手足口病はウイルスの型によっても症状のひどさが違うが、子供はおおむね軽症だ。大人が久しぶりに発症すると、38度以上発熱する場合や、手のひらや足裏の発疹がひどいことがある。Sさんも足裏にいくつもの発疹ができて足を地面に着くのも痛いし、手の発疹は家事をする際に痛みがあり、時々かゆみもあるという。
手足口病のウイルスに対する抗ウイルス薬はないが、症状に対する対症療法として咽頭痛にはアセトアミノフェン、かゆみには抗アレルギー薬を内服し、自然に治るのを待つ。流行するウイルスの種類によっては、しばらくして手の皮が1枚むけてしまうことや爪が剥がれてしまう場合もあるが、新しい皮膚や爪が下に生えてきているため、それほど心配はない。そっと回復を待てば良い。
特効薬なし…栄養をとって安静に
Sさんの場合は発疹が引くのも時間の問題と思われたので、少しの間家事を手抜きして、なるべく手袋を利用して行うようアドバイスし、つらい時だけ内服するようアセトアミノフェンと抗アレルギー薬を処方した。子供で流行するウイルスに大人がかかると、時に子供よりひどい症状となるが、インフルエンザと水痘ウイルス以外、今のところすぐ治る薬はないので、休養・栄養をとって過ごしてほしい。(常喜眞理 医師)
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