介護のキホン
医療・健康・介護のコラム
認知症グループホームってどんなところ?
認知症の高齢者らが、家庭的な雰囲気の中で安心して暮らすための施設に、「認知症グループホーム」(認知症対応型共同生活介護)があります。住宅地にあることが多く、少人数で、顔なじみのスタッフらの支援を受けながら共同生活をするイメージです。
要支援2と要介護1~5の人が対象で、一つの共同生活住居で5~9人が暮らします。食堂やリビング、キッチン、浴室は共用ですが、居室は原則、個室です。全国で20万人以上が暮らしています。
グループホームでは、認知症の症状に配慮しつつ、利用者自身でできることはなるべく自分で行うという「自立した生活」が基本です。
職員は施設内に常駐しますが、料理や買い物、掃除、洗濯といった家事をすべてしてくれるわけではありません。あくまで、自立に必要な援助をして、自分らしく過ごせるように手伝うのが役割です。

家庭的な雰囲気の中、ダイニングテーブルで利用者と話す滝口さん(右)
11月下旬、東京都西東京市の「ねんりんはうす」を訪れると、64~98歳の利用者9人が、テレビを見たり、おしゃべりしたりと思い思いにくつろいだ時間を過ごしていました。時々、スタッフが、穏やかに声をかけています。
「のんびり、ゆったり、マイペース」が施設のモットーだそうです。利用者の間でちょっとした言い争いになることもあるそうですが、職員は危険なことが起こらないように見守り、仲裁はしません。
管理者の滝口智子さん(54)は「他人が9人も一緒に生活する場だから時にはいさかいも起こる。でも、皆さん色々な経験を積んできた大人ですし、自然に収まります」と話します。せかさず、本人のリズムに合わせた生活が一番と考え、食事の時間や出し方、量なども個々に合わせます。
2003年開設のねんりんはうすでは、現在は 看取 りの対応もしています。最近は、暮らし慣れたこのホームで最期まで過ごすことを望まれるケースも増えたといいます。
グループホームの利用にかかる費用は要介護度により異なります。介護保険の自己負担分(所得に応じて1~3割)と家賃や食費、水道光熱費などの合計で、1割負担だと月15万~20万円ほどが目安です。買い物代や外出時の費用は別途必要です。施設によっては入居時に一時金などが必要になる場合もあります。
全国グループホーム団体連合会の蓬田隆子副代表は「利用者も職員も生き生きとしているのがよい施設です。職員はにぎやかでも、利用者に活気がないといった場合、利用者に合った暮らしになっていない可能性もあります」と、見学して雰囲気を確かめることを勧めています。地域に開かれているかも重要で、「認知症カフェなど、地域との交流を持つ活動をしているかも確認してほしい」と話します。
看取りへの対応は施設によって異なります。将来的に希望する場合は、医療機関との連携状況なども事前に確認しておくのがよいでしょう。
また、認知症の症状が進んだり、医療的なケアが必要になったりした時には、グループホームで生活を続けることが難しくなる場合がある点にも留意が必要です。
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