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「既読」で終わるLINEではなく電話を…孤独死と向き合う遺品整理業者の「お願い」

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 核家族化が進み、近所付き合いも希薄になる中、誰にもみとられずに亡くなり、長く気付かれない「孤独死」があちこちで起きています。遺品整理会社「関西クリーンサービス」(大阪市)の亀沢範行代表(41)は「離れて暮らす家族のことをぜひ気にかけて」と呼び掛けています。

「既読」で終わるLINEではなく電話を…孤独死と向き合う遺品整理業者の「お願い」

防護服姿で孤独死があった住宅の遺品整理をする亀沢さんら(8月、大阪市内で)

 これまで遺品整理と言えば、故人の思い出を振り返りながら家族で進めていくものでしたが、業者に依頼するケースが増えるようになりました。普段別々の場所で暮らす人たちが、マンションや地域ごとに決められたゴミ収集日に合わせて何度も実家に集まるというのは難しいものです。

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東大阪市出身。「便利屋」を経て2007年に遺品整理会社を開業。大阪、京都、奈良で、遺品整理やゴミ屋敷の片付け、事件・事故現場の特殊清掃などを請け負っている。

 実は私も、祖母の遺品整理で苦労しました。週末ごとに親きょうだいが集まりましたが、ついつい思い出話にひたってしまい、その度に手が止まり作業が進まない。結局、片付け終えるまでに半年かかってしまいました。その経験から、遺品整理を担う会社を始めたのです。

 四十九日、一周忌などの法要が終わった後に、長く誰も住んでいなかった家や部屋を片付ける依頼が多かったのですが、遺体が何か月も放置される孤独死が目立つようになってからは、消毒・消臭といった特殊清掃を伴う依頼が増え始めました。コロナ禍以降は、人付き合いがより疎遠になったためか、孤独死による依頼が急増しています。

 現場には、近所の方にあいさつをし、線香をあげ、手を合わせてから入ります。遺体が残されているわけではないので、葬儀のような直接的な「弔い」をするわけではありません。ただ、その人が過ごした空間をなくすこと、この世から住まいという生きた証しを“しまい”させていただくと思って作業にあたっています。

 「お清めの塩」を準備していた時期もありました。気にする関係者がいたからです。しかし、誰も入りたがらない部屋を片付けるというのは、誰かがやらないといけない仕事。依頼主の大家や遺族だけでなく、きっと故人にも感謝してもらえるはずだと思い至ってからは、取りやめました。

 ただ、「孤独死をさせてしまった」と自らを責めてしまう遺族らのケアをできないかと考え、今月、出家しました。苦しんで逝ったことがわかるような現場では、依頼者が希望すれば読経してあげたいとの思いからです。

 孤独死というと高齢者のイメージがあるかもしれませんが、ワンルームマンションに暮らす単身者の突然死や自殺といったケースも多くあります。身近な人とつながりがなく、孤立しているため、ほとんどが異常を感知した近隣住民からの苦情などから判明。そして、遺族は決まって「まさか自分の身近で……」と言うのです。

 お願いがあります。「うちは大丈夫」と思わず、離れて暮らす家族とは週に一度は連絡をとってみてください。「既読」で終わってしまうLINEではなく、ぜひ電話をしてください。

 死は誰にとっても避けられないものです。その中では、家族らにみとられて亡くなるのは幸せなことなのだと思います。(聞き手・川崎陽子)

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