リングドクター・富家孝の「死を想え」
医療・健康・介護のコラム
高齢者をがんや心疾患に仕立て必要ない手術まで…終末期医療に残る深い闇
病院を姥捨山にしてはいけない
患者の気持ちに寄り添った終末期医療を、誠意を持って本人や家族と相談しながら進めているような病院で、「遺族への説明が負担だ」と言って殺人を起こすような 看護師が見過ごされるでしょうか。旧大口病院事件は、特異な犯罪者が引き起こした事件で、ご遺族の心情は察するに余りあります。ですが、その背景には、日本の終末期医療提供体制の問題があるように思えてなりません。
1983年のカンヌ映画祭でパルムドールに輝いた映画「楢山節考」は、貧しさゆえに口減らしのために高齢の親を山に捨てる姥捨山をテーマにした作品です。主演した坂本スミ子さんは、今年1月に84歳で亡くなりました。
私も来年は75歳の後期高齢者。間違っても、現代の“姥捨山”には入れられないよう、家族には話をしておかなければいけません。その上で、その時が来たら、潔くこの世を去るつもりです。 (富家孝 医師)
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