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「持ち家」か「賃貸」か…老後の住まい選びのポイントは?
子どもの独立や自動車の免許返上などで、愛着のある郊外の戸建てから、駅などに近く、利便性の高いマンションに住み替えるべきか、悩む人もいるだろう。
老後の住まいを考える上でのポイントは、自宅が持ち家なのか、賃貸なのかで異なる。
2021年版「高齢社会白書」によると、65歳以上のいる世帯の8割は持ち家だ。原則として家賃がかからず、戸建てなら管理費も不要なため、可能なら長く住み続けたいと希望する人も多い。
ただ、ファイナンシャルプランナーの大沼恵美子さんは「老朽化した設備の修繕や、浴室の寒暖差で体調不良を引き起こす『ヒートショック』対策の工事、手すりの設置といった改修が必要になるケースが多い」と指摘する。一般社団法人「住宅リフォーム推進協議会」の調査によると、70歳代以上が住む戸建て住宅の改修費用は300万円以下が約5割を占めるが、築年数が古いほど、改修費用は高額になる傾向がある。
要介護認定を受けている人は、介護保険の住宅改修費支給制度や、自治体の補助制度を利用できる場合もある。対象や条件などを確認しておきたい。
一方、賃貸の利点は、高齢者施設への入居や家族との同居を考えている場合、住み替えしやすいことだ。大沼さんは「家賃や管理費、更新料などがかかるため、25年間で3500万円ほどが必要と見積もっておくといい」と分析する。
注意点は、住居設備を修繕・改修したくても、所有者に工事の許可を得られない可能性があることだ。大沼さんは「転倒などで入院する危険もある。エレベーターや手すりのある物件や、階段の少ない低層階などを選ぶことが大切」と話す。職員による見守りがある、サービス付き高齢者向け住宅も選択肢の一つだ。
大沼さんは「老後の住まい選びと、余裕のある生活のポイントは、早めに貯蓄や年金受給額に見合った住まいの予算やローンの計画、介護やバリアフリーの情報収集をしておくこと」と語る。リタイア前から高齢者向けの住宅施設を複数見学して、年間費用や暮らしやすさを比較しておくのも重要だ。(平井翔子)
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