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ココロブルーに効く話 小山文彦

医療・健康・介護のコラム

【Track20】夜間救急の現場から 理不尽なクレーム対応がもたらす不眠と動悸

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患者の友人による不合理なハラスメントに

 そして、先ほどの急性アルコール中毒の患者さんのベッドに戻った時、様子が一変していました。患者さんの友人と思われる若い男性が数人、看護師の制止を振り切って、ベッドを囲んで、大声で笑いながら、意識のない患者をたたいてからかったり、ゆり起こそうとしたりしているのでした。どうやら、誰もが酒気帯びでした。

 A医師は、患者さんの状況を彼らに説明し、「意識が戻れば知らせるので、待合室で待っていてほしい」と伝えました。しかし、酒に酔っている彼らは、A医師の言うことをきかないばかりか、「お前みたいな若造で大丈夫か?」「心配でそばにいて何が悪い!」「さっさと治せよ!」などと、不合理な暴言を浴びせ続けたのだそうです。

 まもなく次の患者が搬送されてきました。

 A医師は、すぐに動かなければなりません。それでも、患者の友人たちに付きまとわれ、白衣をつかまれたりもしたことで、たまりかねた看護師が、病棟の男性看護師の応援を数人呼び、ようやく彼らを救急室の外に連れ出しました。

 その後、速やかに次の患者対応に移ったA医師でしたが、それまで心ない暴言や暴力すれすれの態度を浴びせ続けられたことで、思いのほかエネルギーを奪われていたようでした。

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小山 文彦(こやま・ふみひこ)

 東邦大学医療センター産業精神保健職場復帰支援センター長・教授。広島県出身。1991年、徳島大医学部卒。岡山大病院、独立行政法人労働者健康安全機構などを経て、2016年から現職。著書に「ココロブルーと脳ブルー 知っておきたい科学としてのメンタルヘルス」「精神科医の話の聴き方10のセオリー」などがある。19年にはシンガーソング・ライターとしてアルバム「Young At Heart!」を発表した。

 2021年5月には、新型コロナの時代に伝えたいメッセージを込めた 「リンゴの赤」 をリリースした。

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