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家庭に入った41歳夫 「今日はお休み?」と聞かれ…仕事をしていない男性=悪ですか?

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 「男は家族を養って一人前」「弱音を吐くのは男じゃない」――。あなたが男性なら、一度はこう言われたことがあるのではないでしょうか。

 今月19日は、そんな「男らしさ」について考える「国際男性デー」でした。日本ではあまり知られていませんが、男性に向けられる無意識の偏見が生きづらさを生んでいると、ジェンダー(社会的な性差)平等の観点から各国で啓発活動が行われています。

 女性の社会進出により、女性への差別や偏見については問題意識が高まってきました。一方、男性の問題にはまだあまり光が当てられていません。

「男らしく」はつらいよ?

自転車に子ども2人を乗せ、保育園に送り迎えする己波さん(大阪府松原市で)

 「男性の生きづらさ」。その正体を探ります。

 「何だか悪いことをしているみたいでしたね」。大阪府松原市で専業主夫をしている 己波みわ 智司さん(41)は、今年3月に会社を辞めた時のことをこう振り返ります。

 9年前に結婚した妻とは共働きでした。己波さんは元々料理が得意で、自然と家事をすることが多くなったそうです。長男(5)と長女(2)が生まれた後は、己波さんが時短勤務をして保育園に送り迎えをし、妻の方が収入が多かったこともあり「子どもとの時間を増やしたい」と家庭に入ることを決めました。

 ところが、周囲は冷ややかでした。「生活できるの?」という心配の声だけでなく「男が家族を食わせるべきだよ」とも言われたそうです。

 今は育児に買い物、炊事、洗濯と、忙しくも充実する日々を送っています。決断を後悔していませんが、平日に髪を切りに行った時、美容師に「今日はお休みですか?」と聞かれ、どう説明していいか迷うこともあるそうです。

 己波さんは「『仕事をしていない男性=悪』ではなく、いろんな生き方を認める社会になってほしい」と話します。

 一般社団法人「Lean In Tokyo」が2019年に10~60歳代の男性309人を対象に行った意識調査では、51%が「男性という理由で生きづらさを感じる」と回答。「男は泣いてはダメだと言われる」「生涯家族を支えていかなければならない」などの声が寄せられました。

 「男性学」が専門の田中俊之・大正大准教授(46)は「競争」が背景にあると言います。

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 田中准教授によると、日本の男性は、いい大学、いい企業に入り、一家を支えることが「勝ち組」とみなされ、幼い頃から競争をさせられます。レールを外れることは許されず、意地を張り続け、疲弊していくのだそうです。

 田中准教授は「ジェンダー問題はコインの裏表の関係。男性を『男らしさ』から解放することで、女性の社会的地位の向上につながる」と指摘します。

 最近は、従来の男らしさに加え、家事や育児に取り組む男性像も求められます。私も慣れない家事を妻と分担し、四苦八苦しています。

 肩の力を抜いて、時には弱音を吐いてみる。すぐには難しいかもしれませんが、そこから始めることが「男らしさ」の呪縛から脱却する一歩になるのではないでしょうか。

今回の担当は

 行田航(ゆきた・わたる) 大阪府南部の自治体や話題を担当。東京五輪で、選手や家族らを取材した。鹿児島県出身。32歳。

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 〒530・8551(住所不要)読売新聞大阪本社社会部「言わせて」係

 iwasete@yomiuri.com

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