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医療・健康・介護のコラム

[女優 北原佐和子さん](下)人間関係に疲れ、介護から離れたことも…台本覚えた「瞬発力」で資格試験を次々突破、55歳で准看護師に

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両親の「人生会議」を動画配信?

 ――社会への発信にも取り組んでいますね。インスタグラムなどのSNSを活用、ユーチューブにチャンネルを開設して動画も配信しています。

 私が出合った介護、医療の仕事の魅力をもっと多くの人に知ってもらいたいんです。とはいえ、介護や医療のことだけを真正面から取り上げてもなかなか見てもらえないので、旅行や映画、料理など、プライベートのこともいろいろ盛り込んでいます。

 家族を介護している人にもメッセージを届けたいです。一人で抱え込まず、プロの力を借りて上手に休息をとってもらいたい。介護する人が無理をしないことで家族の良い関係を守る。それが介護を受ける人のためにもなると伝えたいです。

 自分の両親の人生会議の様子を撮影して配信することも考えているんです。 2人がOKしてくれるなら、ですが。

 ――私は北原さんより少しだけ下の世代です。確かに周囲でも「親が倒れたらどうするか」が、話題に上る年齢になってきました。

 うちはありがたいことに両親ともに健康なのですが、人生会議は元気なうちに始めるのが望ましいですからね。

 妹は看護師で、私と同じようなことを考えていたようで、両親に「高齢になると、ある日、突然……ということもあるよね。そうなったら、お金のことも含めていろいろ困ると思うから、今のうちから準備しておきたい」みたいなことを言ったらしいんです。母が「あの子、私たちが早く死んだ方がいいと思ってるのかしら」と憤慨していました。

 やっぱり、いきなり切り出しても難しいですね。特に母は難関なタイプなので。そこで私からも働きかけてみようと、作戦を練りました。

 まず、自分の免許証を出して「お父さん、これ見てくれる? 裏に臓器提供を希望しているってことを書いてるんだ」と話しました。「だから、もし私が交通事故に遭った時は、遺体がないまま葬儀ってことになるかもしれない。それは許してね」って。

 その上で「お父さんだってお母さんだって、ある日、突然ってことがあるかもしれない。そういう時、延命処置についてどういうふうに考えてる?」と尋ねてみたんです。

 <人生会議> アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の愛称。人生の最終段階(終末期)に本人が希望する医療やケアを受けられるよう、家族や医師ら医療・介護の専門職と繰り返し話し合うこと。内容は記録され、本人が意思表示できない場合に意向を推定する材料となる。  

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