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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

「子どもが転落するベランダ」とは…横型の桟、凝ったデザインの柵に注意!

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 前回は、高所からの転落を予防するためには、子どもの身体計測データや行動データを整備しておくことが必要であるとお話ししました。今回は、どのように予防に取り組んだらいいのか、考えてみたいと思います。

「子どもが転落するベランダ」とは…横型の桟、凝ったデザインの柵に注意!

イラスト:高橋まや

重要な「ベランダの広さ」「置いてあるものの位置」

 あちこちで、高所から幼児が転落する事故が報道されています。テレビのニュースでは、札幌市消防局のデータとして、5歳以下の転落は、2021年には12件、21年は10月末までに9件の転落事故が起こっていたとされています。21年9月には札幌市白石区で4歳児が9階の子ども部屋の窓から転落して死亡しています。窓には転落防止用の柵がありましたが、それを乗り越えて転落したとみられています。死亡事故は全国ニュースとなって知ることができますが、この報道で指摘されているような地域での転落例が報じられることはありません。救急搬送が要請される幼児の転落事故は、単純計算では、死亡事故の10倍発生していることになります。

 東京都生活文化局の「 子供のベランダからの転落防止のための手すりの安全対策 」という報告書には、ベランダの使用実態について、1032人の都民を対象に行われた調査結果が報告されています。しかし、この調査では、ベランダの広さや、置いてあるものがどのように設置されているかはわかりません。

 私が代表を務めるNPO法人Safe Kids Japanでは、何が問題で、どうすれば転落を予防できるのかを探るため、インターネットを通じて、ベランダのある建物に住み、10歳以下のお子さんを育てている方を対象に調査しました。自宅のベランダの使い方、ベランダに置いてあるものを挙げていただき、さらに、柵の高さ、ベランダの幅と奥行きを計測したデータと、自宅のベランダの写真を応募していただく「 ベランダ1000」プロジェクト というものです。

 その結果を冊子にし、同じものをSafe Kids Japanのホームページに掲載しています。これまでは、子どもの転落事故が起きても、そのベランダの写真が公表されることはなく、原因を知ることは困難でした。今回の調査で、実際に使われているベランダの写真を見せていただき、柵や踏み台となる物がどこに置かれているか、柵のデザインにはどのようなものがあるのかなど、さまざまなことを知ることができました。

 問題点として、以下のようなことがわかりました。

  • ベランダの奥行きが狭く、エアコンの室外機が足掛かりになってしまう。
  • ベランダの奥行きに広いところと狭いところがあり、広いところを有効に使うため、狭いところにエアコンの室外機が設置されている。
  • 横型の桟、装飾性の高い柵など、柵のデザインそのものが足掛かりになってしまう。
  • 室外機以外にも、ゴミ箱や大型の植木など、足掛かりになるものが置かれている。

 実際の事例を見てみましょう。

床面から70センチに危険な「水平部分」

「子どもが転落するベランダ」とは…横型の桟、凝ったデザインの柵に注意!

<投稿例1>

 このベランダの柵の高さは130センチ、床面から70センチあたりまではコンクリート製で、その上に幅20センチほどの水平部分があります。4歳児は平均で69センチの高さを乗り越えることができますので、この70センチの高さにある水平部分に登り、手すりの上に身を乗り出す可能性があります。また、ベランダの奥に設置された室外機の上に登り、物干し用ポールに手を伸ばして水平部分に移動する可能性もあります。

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yamanaka-tatsuhiro_prof

山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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