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医療・健康・介護のコラム

[女優 北原佐和子さん](上)私、世の中に必要とされてないの? 心の隙間が「介護」で埋まった

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福祉につながる記憶がよみがえり

  ――具体的には、どんなことですか?

 特に印象が強かったのは、小学生くらいから続く思い出ですね。

 その頃は、夕方になると駅まで父を迎えに行っていました。父を待つ間、ご高齢だったり、視覚障害があったりする方が、券売機の前で戸惑っているのを見かけることが度々あったのですが、幼い私は勇気を持って声をかけることができませんでした。そんな日はいつも、家に向かう足取りが重かった。

 大人になり、大雨の日に車を運転していたら、大通りでタクシーを探す四肢まひの男性を見かけたんです。手にもまひがあり、傘を差していたけれどずぶぬれでした。子どもの頃の記憶がよみがえって、「乗ってください」と声をかけました。

 その方は手伝いはいらないとおっしゃり、シートや付近の金網につかまりながら、自力で車を乗り降りしていました。発話も不自由でしたが、週に2~3日、電車を乗り継いで仕事に行っていることなどを一生懸命話してくださったんです。

 ハンディキャップを抱えながら自分の足で立とうとするたくましさに、強く心を動かされました。私は10代でデビューして、大人たちがお膳立てしてくれたところに立って、仕事をしてきたのに……と。

 そんな記憶が、10年以上もたってから鮮やかによみがえってきたんです。「これは何かのメッセージなんじゃないか」と感じました。

  ――それで介護の仕事を選んだのですね。

 福祉に関わることをやってみようと思い、まずはホームヘルパー2級の資格を取ることにしたんです。

 仕事が一段落してまとまった時間がとれるタイミングを狙い、2週間くらい毎日通って講義を受け、資格を取得しました。

 その後、傾聴ボランティアや手話の講座を受けて、そこで知り合った人から、介護事業所が掲載されている本を頂いたんです。それを見て「こんなにたくさん事業所があるのなら、私が働けるところがあるかも」と思い、載っている事業所に問い合わせました。女優の仕事をしていることをお伝えして、数か月空いた時にしっかり働きたいと思っているのですが、いかがでしょうかとお話ししました。

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