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のみ込んで撮影「カプセル内視鏡」の保険範囲拡大…大腸検査の苦痛少なく

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 腸の状態などにより通常の内視鏡検査が受けられない人に対し、水とともに口からのみ込み、大腸や小腸内を撮影するカプセル内視鏡が使われることがあります。大腸用は2020年春、公的医療保険の対象となる範囲が広がり、使える人が増えました。(利根川昌紀)

のんで消化器通過

 大腸用カプセル内視鏡は、長さ3センチほどの大きさで、カメラなどが内蔵されています。大腸がん検診で精密検査が必要になった人などに使われます。水とともにのみ、胃を通過すると検査のための撮影が始まります。検査は肛門から排出されるまで続きます。

 事前に、腸管洗浄剤を飲んで便を排出し、腸内をきれいにします。その後、記録装置などを装着した上でカプセル内視鏡をのみます。撮影された画像データは装置に送信されます。

 大腸がん検診の精密検査は、肛門から内視鏡を挿入するのが一般的です。しかし、過去の腹部の手術で大腸が癒着している場合などには、内視鏡が奥まで入りません。入っても腸を傷つける可能性があり、カプセル内視鏡やCT(コンピューター断層撮影法)検査などが選択肢となります。

 ただし、CT検査は放射線 被曝ひばく の懸念もあります。カプセル内視鏡は14年に、癒着があり肛門から入れる内視鏡が使えない人などに限り、公的医療保険の適用が認められました。

 しかし、大腸に問題がなくても、高血圧や心臓病などがあると、肛門から内視鏡を入れるのが難しい場合があります。これらの病気の症状が悪化する恐れがあるからです。また、大腸が長く、体内で折れ曲がった部位が多い「大腸過長症」で慢性的な便秘になっている人も、肛門から内視鏡を入れるのは困難です。

 そこで20年4月に公的医療保険の対象が広がり、〈1〉3種類の降圧剤を使っても高血圧が改善しない〈2〉慢性 閉塞へいそく 性肺疾患(COPD)がある〈3〉心臓から全身に血液を送り出す力が弱い〈4〉大腸過長症で、慢性的な便秘がある――人なども加わりました。

 名古屋市の男性会社員(46)は大腸がん検診で精密検査が必要と判定され、今年4月に藤田医科大学病院(愛知県豊明市)でカプセル内視鏡を使った検査を受けました。その結果、異常は確認されず、「苦痛もなく検査を受けられました。今後、精密検査が必要になった時もこの方法にしたい」と話しています。

1日かかる場合も

 大腸用カプセル内視鏡には課題もあります。一般的な内視鏡検査は数十分程度で済みますが、カプセル内視鏡による検査は、体外に排出されるまで続きます。3~10時間を要するとされ、朝のんでから1日かかる人もいます。

 また、将来がんに移行する恐れがあるポリープがあった時、従来の内視鏡検査のように、その場で取り除けません。腸内に狭まった部位がある人も対象外です。

 藤田医科大教授(先端光学診療学)の大宮直木さんは「苦痛がないため、大腸がん検診の精密検査の受診率向上が期待できます。自費だと10万円ほどかかるため、公的医療保険の適用範囲を広げるなど、より使いやすくする必要があります」と指摘しています。

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