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常喜眞理「女のココロとカラダ講座」

医療・健康・介護のコラム

血管がボコボコと浮き出る下肢静脈瘤…体の負担が少ない新しい治療で脚のむくみやだるさが軽快

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血管がボコボコと浮き出る下肢静脈瘤…体の負担が少ない新しい治療で脚のむくみやだるさが軽快

 30歳代後半のIさんは左膝の裏が内出血をしたと来院された。膝の裏からふくらはぎにかけて内出血が見られ、その周りにコブのような血管が浮き出ていた。下肢静脈 (りゅう) である。

 Iさんは立ち仕事が多く、足のむくみやだるさを以前から感じていた。内出血は少し安静にしてもらうだけで大丈夫と思われたが、今後の治療について専門医と相談することを勧めた。

運動やストッキングも有効

 下肢静脈瘤は比較的女性に多く、長時間の立ち仕事、妊娠、加齢などと関連している。家族の中に下肢静脈瘤を持つ人がいる場合、発症しやすいこともわかっている。足の静脈は地球の重力に逆らって血液を心臓に戻さなければならない。静脈には逆流を防ぐ弁がついているだけであり、心臓に戻す力は主にふくらはぎの筋力に任されている。この弁が壊れたり、ふくらはぎの筋力が衰えたりすると、血液が静脈にたまってしまう。血液の圧力で静脈の壁が引き延ばされ、コブのように膨らむ。

 1時間に1回、数分間足を上にあげて心臓に近い位置にすることや、ふくらはぎを動かすようウォーキングや足踏みなど軽い運動を心がけること、弾力性のあるストッキングを着用することなどである程度症状は軽減する。

 下肢静脈瘤があると肺 塞栓(そくせん) 症いわゆるエコノミークラス症候群になりやすいと心配される方がいるが、エコノミークラス症候群はもう少し深いところにある静脈が詰まる病気で、皮膚から見える下肢静脈瘤が直接の原因になることはほとんどない。しかし、日常生活でむくみやだるさなど足のつらさがあり、やはり見た目も気になると思うので、一度専門医の受診を勧めたい。

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常喜 眞理(じょうき・まり)

 家庭医、医学博士
 1963年生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。消化器病学会専門医、消化器内視鏡学会専門医・指導医、内科学会認定医、日本医師会認定産業医。院長を務める常喜医院(内科、皮膚科)での診療のほか、慈恵医大新橋健診センターでは診療医長として健康診断(人間ドック)の内科診察を行い、婦人科や乳腺外科の診断を担当する。様々な大手企業の産業医でもあり、職場におけるメンタルヘルスのサポートを長年行っている。著書に『オトナ女子 あばれるカラダとのつきあい方』(すばる舎)、『お医者さんがやっている「加齢ゲーム」で若返る!』(さくら舎)。現在、BS-TBS「Together」に準レギュラー出演中。

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