新・のぶさんのペイシェント・カフェ 鈴木信行
医療・健康・介護のコラム
人工呼吸器をつけるか迫られる決断 ALSの母の在宅介護から見えてきた「いのち」の重さ
ここは、ある下町にあるという架空のカフェ。オーナーののぶさんのいれるコーヒーの香りに誘われ、今日もすてきなゲストが訪れて、話が弾んでいるようだ。(ゲストとの対話を、上下2回に分けてお届けします)

【今月のゲスト】
川口有美子(かわぐち・ゆみこ)さん
1995年、母がALSに罹患(りかん)、96年から在宅人工呼吸療法を開始する。2003年、訪問介護事業所「ケアサポートモモ」を設立。同年、ALS患者の橋本操さんとNPO法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」を設立する。著書に「逝かない身体―ALS的日常を生きる」(医学書院)などがある。
・NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会 http://sakura-kai.net/pon/
NPO法人さくら会の川口有美子さん(上)
師走に入り、街には人通りが多くなってきた。私のカフェにも多くのお客さまがお越しになっている。カウンター席にお座りになった方が、私に声をかけてきた。
「鈴木さんですよね?」
川口有美子さんだった。以前、オンラインのイベントでお会いしたことはあるが、こうやって実際にお会いするのは初めてだ。
確か、お母様がALS(筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症)という難病を患い、その後、介護経験を生かして「さくら会」という組織を設立するなど、幅広く活動していらっしゃると記憶している。
「仕事がひと段落したので、来てみました」
生き生きと明るい笑顔は、カフェ全体を明るくしてくれた。
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