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大橋博樹「かかりつけ医のお仕事~家族を診る専門医~」

医療・健康・介護のコラム

日本はコロナに医療体制で負け、国民意識で勝った 第6波への備えはほとんど「賭け」 五輪開会式聖火ランナー・大橋博樹医師

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味覚・嗅覚障害、だるさ、せき…後遺症は手強い

――新型コロナ感染後の後遺症に悩む方が多いようですが、先生も後遺症の患者を経験していますか。

 いらっしゃいます。味覚や嗅覚が戻らない。だるさが取れない。変なせきが続いているといった方ですね。味がしないと、食欲が戻らずに筋力が落ちて、階段を休み休み昇るという方もいます。近くの聖マリアンナ医大では後遺症を診る感染症後外来を開設していて、担当の先生にもお話を聞いて対応しています。対症療法ですが、味覚・嗅覚障害やだるさには漢方薬も使います。でも手強いですね。「どうしてこんなに長く続くのか」と最後はメンタルが参ってしまう方も多いので、そうしたサポートもしています。

 若い方は後遺症が出やすくて、一方でワクチンを2回接種していると後遺症が少ないというデータもあります。後遺症の治療法は確立していないので、やはり若い方にもワクチンが大切ですね。

――第5波では、糖尿病の自覚のない30、40代の方が新型コロナで自宅療養中に急変したケースを大橋先生も経験されたそうですが、どのように考えていますか。

 若い人たちも自分の健康状態を日頃から把握しておくことが必要だというメッセージだと思うんです。糖尿病といっても初期なら症状は出ませんから、健康診断で「要指導」や「要再検査」となっても、そのまま放置してしまう人も多いですよね。本当は糖尿病という基礎疾患があるのに、「基礎疾患なし」の扱いになって、新型コロナに感染して悪化してしまった。健診で異常が指摘されたら、医療につながっていただきたいですね。

 それと、糖尿病の方でもワクチンを接種すると重症化を防ぐことができたというデータが出てきているのでワクチンは重要です。

多くのワクチンは3回接種が当たり前

――ワクチンの3回目の接種が行われますが、その効果はどうでしょうか。

 第6波がどうなるか予想はつきませんが、今後の新型コロナ対策という点では、ワクチンがキーになると思います。新型コロナだけでなく、赤ちゃんが打つワクチンも含めて多くのワクチンは通常3回接種となっています。2回の接種では、獲得した抗体が時間と共に低下するため、それを押し上げるという意味で3回目の接種を「ブースター接種」と呼んでいます。ですので、ワクチンの働きだけを考えたら3回の接種はとても自然なことなのです。

 世界的なワクチンの供給が十分でない中、日本を始め限られた国だけ3回目を打つことに否定的な意見もありますが、多くの人が3回目を受けてくれたら、抗体価が伸びるでしょう。そうしたら、堂々とみんなで旅行に行って、忘年会ができるようになるのではないかと期待しています。

ワクチンで治療薬のいらない病気なれば

――軽症者の重症化を防ぐ抗体カクテル療法や新しい治療薬の開発も進んでいるようですが、どのように受け止めていますか。

 川崎市の場合、保健所が抗体カクテル療法のロナプリーブを使える病院に誘導して、専用の搬送車でお連れするシステムができています。新しいお薬にも期待はしますが、ワクチンを3回接種すれば、重症化する人が減ってきてお薬がいらない病気になる可能性もありますね。インフルエンザの治療薬は何種類も出ていますが、海外ではインフルエンザは安静にして治す病気で、薬はあまり使いません。治療薬のタミフルの7割は日本で使われていて、日本だけが特異な状況です。この先、基礎疾患のない健康な人なら、世界で一般的なインフルエンザへの対応と同様に、薬のいらない病気になるというコースもあるかもしれないと思います。

――新型コロナの影響はいつまで続くのでしょうか。

 わかりませんが、これからは短距離走ではなく長距離走でできることを考えなければいけないと思います。日本は欧米各国と比べて、マスクなど基本的な感染対策をちゃんとしている国ですね。しかも、若い人も含めて多くの人がワクチンを打っています。飲食もパーテーションをして相当に配慮をしています。日本の人は世界のお手本になるくらいにやってきたので、今の形をある程度維持しながら生活を戻していくことができると思います。

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大橋博樹(おおはし・ひろき)

多摩ファミリークリニック院長、日本プライマリ・ケア連合学会副理事長。
1974年東京都中野区生まれ。獨協医大卒、武蔵野赤十字病院で臨床研修後、聖マリアンナ医大病院総合診療内科・救命救急センター、筑波大病院総合診療科、亀田総合病院家庭医診療科勤務の後、2006年、川崎市立多摩病院総合診療科医長。2010年、多摩ファミリークリニック開業。

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