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大橋博樹「かかりつけ医のお仕事~家族を診る専門医~」

医療・健康・介護のコラム

日本はコロナに医療体制で負け、国民意識で勝った 第6波への備えはほとんど「賭け」 五輪開会式聖火ランナー・大橋博樹医師

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第6波がどう来るか、競馬の予想と変わらない

――この冬に第6波がどのような形で来るのか、あるいは来ないのか、どうお考えですか。

 今、お正月の体制を決める時期なのですが、第6波がどうなるのか全く予想がつきません。昨冬は患者さんが増えていたので、休日急患診療所に人を増やし、お正月休みを返上して診療したのですけれど、今年はそこまでやる必要があるのか。

 多くの人がワクチン2回接種済みということもあって、通常の体制でいいのか。去年はインフルエンザの感染者が少なかったので良かったのですが、今年はどうなのか。もし、インフルエンザが普通に流行した場合、症状でコロナと鑑別するのは難しいので、PCR検査が必要になります。地域の先生で話し合うと、「用意周到にしよう」という話になりますが、町の開業医はなんのデータも持っていませんから、第6波については競馬の予想のような状態です。

――インフルエンザのワクチン接種を希望する人は多いですか。

 インフルエンザは診療所ごとに事前に仕入れなきゃいけないので、ラインで患者さんにアンケートしてみました。すると去年並みの希望者がいたので、昨年同様の体制を組んでいます。若い人から高齢者まで、意識が高いなぁと思いますね。

――感染症の専門家が「今冬はインフルエンザが大流行するかもしれない」とコメントしている影響があるのかもしれませんね。

 インフルエンザというのは、季節が逆の南半球から持ち込まれて流行するものですが、大流行というのは、南半球から入ってきたらというのが大前提になります。持ち込まれると、昨冬は流行がなかったため免疫が弱いだけに、「大流行するかも」という話です。ただ、今のところ南半球で流行の話はなく、人の往来も制限されているので、もしかしたらそんなにはやらなくてすむかもしれません。感染症の先生はただ脅かしているのではなくて、可能性について説明しているわけです。

――第5波では、新型コロナが急速に悪化する病気であるにもかかわらず入院できない、医療提供システムの敗北が現実のものになりましたが、第6波に向けてはいかがでしょうか。

 県と病院団体と医師会が中心になって確保病床を増やすことができないか検討しています。ただ、ここでも私たち開業医が正月の体制をどうするかという話と同じ議論が起こっています。ワクチン接種が進んでいる中で、第5波のような波がまた来るのか、だれも予測がつかないんです。

 病床を確保するには、通常の手術予定を減らし、人の手当てをするといった準備が必要なので、どうしても明日からパッと転換することはできません。感染が増えそうだと予測がついた段階で準備に入ることになります。言い訳になりますが、第5波は転換する時間すらないままに急激に患者が増えてしまったところがあります。このことについて社会からの批判もありましたし、どんな波が来るか予想が難しいところで、通常医療とのバランスを考えながら体制作りを考えているところです。

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大橋博樹(おおはし・ひろき)

多摩ファミリークリニック院長、日本プライマリ・ケア連合学会副理事長。
1974年東京都中野区生まれ。獨協医大卒、武蔵野赤十字病院で臨床研修後、聖マリアンナ医大病院総合診療内科・救命救急センター、筑波大病院総合診療科、亀田総合病院家庭医診療科勤務の後、2006年、川崎市立多摩病院総合診療科医長。2010年、多摩ファミリークリニック開業。

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