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大橋博樹「かかりつけ医のお仕事~家族を診る専門医~」

医療・健康・介護のコラム

日本はコロナに医療体制で負け、国民意識で勝った 第6波への備えはほとんど「賭け」 五輪開会式聖火ランナー・大橋博樹医師

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 新型コロナウイルス第5波はこの夏、急激に高まり、急速に収束しました。今は、この冬に第6波がどのように来るのか、予想が難しい状態で医療者は備えを進めています。多摩ファミリークリニック(川崎市)院長の大橋博樹さんは、新型コロナと闘う医療者の代表として、7月の東京五輪の開会式で長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督らから聖火を受け取りました。今は発熱外来を継続しながら、診療所として、地域として、この正月をどういう体制で迎えるか検討を進めています。「第6波がどうなるか予想がつかないので、どういう体制を準備するか、ほとんど賭けごとのような状態」と言います。新型コロナをめぐる、現場の今について大橋さんに聞きました。(聞き手・渡辺勝敏)

第5波の感染者急減は予想外 キツネにつままれた思い

――この8月の第5波のピークは大変なご苦労でしたね。

 一般の患者さんの受け付けを午前は10時半までに制限し、昼過ぎまでを発熱外来にしてPCR検査をしていました。8月の盆明けには1日40人検査をして、30人が陽性という日の連続。在宅診療も行っていて、危険な状態の患者さんがあっちこっちに。まさに災害と言っていい状態でした。ところが、それをピークに、9月になると驚くようなスピードで陽性者が減りました。このところ陽性者ゼロが続いているので、発熱外来の時間を短縮しています。

 第4波まではゆっくり増えてゆっくり下がったのに、第5波はいきなり上がって、ストーンと落ちて、キツネにつままれたような思いです。知り合いの感染症の先生たちも、その理由について「不思議だ。わからない」と言っていますね。

――大橋先生は、この第5波の急増と急減の理由についてどう思いますか。

 発熱外来の現場から見ると、ワクチンの効果があったのかなぁと思っていました。私の診療所では、8月に300人以上の陽性者が出ましたが、その中でワクチンを2回打った後で感染した人は2人だけでした。ワクチン未接種の人が続々と受診しては陽性になる、という感じです。急激な感染者の減少について、ウイルスの遺伝子変異が関連しているという研究も出てきているので、厳密にはワクチンとの因果関係はわかりません。ですが、ワクチン接種で多くの方が恩恵を受けたのは間違いないと思います。

日本人のセルフケア力が感染の広がりを抑えている

――若者の路上飲みが話題になることがありましたが、日本では若者もきちんとマスクをして手を洗って感染対策をきっちりやっているのではないでしょうか。

 法律で定めなくても、若い人たちもマスクをちゃんとしていますね。当初、若者のワクチン接種率は6割にいかないという想定でしたが、実際には川崎市でも7割を超えて、接種者は増えています。日本の新型コロナに対する医療提供システムは海外先進国と比べると負けですが、日本人の個々のセルフケア力、感染防御力は世界に負けないと思うので、日本人が一人ひとり自信を持ってもいいのかなと思っています。

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大橋博樹(おおはし・ひろき)

多摩ファミリークリニック院長、日本プライマリ・ケア連合学会副理事長。
1974年東京都中野区生まれ。獨協医大卒、武蔵野赤十字病院で臨床研修後、聖マリアンナ医大病院総合診療内科・救命救急センター、筑波大病院総合診療科、亀田総合病院家庭医診療科勤務の後、2006年、川崎市立多摩病院総合診療科医長。2010年、多摩ファミリークリニック開業。

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