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コロナ禍で高齢男性ほど深まる「孤立」…SNS・ネット利用も少なく

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コロナ禍 高齢男性ほど孤立…対面で交流する場 必要

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、人とのつながりが失われる「社会的孤立」に陥った人の割合は、男性で高齢であるほど大きかった――。そんな調査結果を東京都健康長寿医療センター研究所がまとめた。

 調査はコロナ禍による外出自粛の影響を探るため、2020年8~9月に実施。インターネットで参加者を募り、全国の15~79歳の2万5484人の回答を分析した。

 調査では、別居の家族や親戚、友人らに対し、「対面での交流」「メールなどでのメッセージのやり取り」「音声での通話」「ビデオでの通話」――をどのくらいしたかを質問。4種類の合計が週1回未満だった場合を、人との接触や交流が著しく少ない状態の「社会的孤立」にあたるとした。

 新型コロナ感染拡大前の20年1月と、コロナ禍の同年8月の状況を尋ねたところ、社会的孤立者の割合は、全体で21・2%から27・9%と6・7ポイント増加していた。男性の方が社会的孤立者の割合が大きく、増加幅も、男性が7・6ポイント増、女性が5・6ポイント増と男性の方が大きかった。

 年代別に見ると、男女とも全ての年代で増加していたものの、高齢になるほど増加幅が大きくなる傾向にあることがわかった。増加幅が最も大きかったのは男性の70歳代で、10・5ポイント増だった。

 高齢者が社会とのつながりを失うと、心身が衰えるフレイルにつながると言われている。コロナ禍でも社会的孤立に陥らないような対策が、フレイル予防の観点からも重要となっている。

 研究所では、今後もコロナ禍の影響を把握するため、継続的に調査を実施していくという。

調査担当・村山さんに聞く

 東京都健康長寿医療センター研究所で、社会参加と地域保健研究チーム研究副部長を務める村山洋史さん(42)に、今回の調査結果と孤立対策について聞いた。

コロナ禍 高齢男性ほど孤立…対面で交流する場 必要

 高齢者の方が社会的孤立に陥る人が多かったのは、若い人に比べて、SNSやインターネットを利用する人が少ないことが背景にあるとみられる。

 また、「高齢ほど新型コロナの重症化のリスクが大きい」と言われ、そのメッセージも高齢者の外出控えを促進した。その結果、ずっと家の中にいて、誰ともつながらない状態になってしまったことがデータからわかった。

 男性よりも女性の方が増加幅が小さかったのは、コロナ禍でも、人と積極的にコミュニケーションを取ろうとする女性が多いことが一因だろう。自粛生活をきっかけに、人との関係性やつながりについて、再認識した人も多かったのではないか。

 地域の様々な活動や集まりも、コロナ禍で自粛となってしまった。孤立する人を少なくするという観点からも、高齢者世代には対面で交流する場が必要だ。

 ワクチン接種が進み、感染対策も広まっている。今後は、可能な範囲で工夫しながら、活動を継続していくことが求められる。(談)

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