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大人の健康を考える「大人び」

医療・健康・介護のコラム

幸福長寿のすすめ(15) 病気予防にAI活用、細胞の老化制御…進む研究

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  このシリーズでは日本老年医学会の前理事長で、大阪大老年・総合内科学教授、楽木宏実さんに聞きました。(聞き手・山崎光祥)

 科学技術の進歩により、そう遠くない未来には、今まで思っていなかったような形で高齢者の生活が変わるかもしれません。最終回は少し夢のある話をしましょう。

 注目されている技術の一つは、人工知能(AI)やビッグデータです。例えば、同じ病気にかかった人々の過去の検査データなどから、共通する予兆などをあぶり出す研究が進んでいます。老後の生活を左右する様々な病気の発症や重症化を防げるようになると期待されます。

 一方、細胞の老化制御も有望です。大阪大のグループは、老化に伴って増えるたんぱく質「ルビコン」の働きを抑えることで、ショウジョウバエと線虫の寿命をそれぞれ約2割延ばすことに成功しました。阪大の別のグループは、分裂できなくなった老化細胞が、様々なたんぱく質を分泌する「細胞老化随伴分泌現象(SASP)」を研究しています。SASPの働きが過剰だと炎症が起きたり、がんが転移したりしますが、適度に働けば周囲の組織の傷を修復するため、SASPの調節方法をマウスの実験で探っています。

 人は、昆虫や動物よりはるかに長い時間をかけて老化するため、これらの研究成果がそのまま人間に当てはまるかどうかは分かりませんが、細胞や臓器の老化を遅らせる薬などの開発を目指す動きが出ています。

 ただし、技術がいくら進んでも不老長寿は不可能です。一人一人が健康を保ちながら自分らしく老いていき、そうした日々の中で幸福長寿を追求できる未来を目指していきましょう。

楽木宏実さん

【略歴】
 楽木 宏実(らくぎ・ひろみ)
 1984年、大阪大学医学部卒業。89ー90年、米国ハーバード大学、スタンフォード大学研究員。2004年、大阪大学大学院加齢医学助教授、07年から同老年・腎臓内科学教授。内科学講座の改組により15年10月から現職。

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