お知らせ・イベント
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一人ひとりが個性的。可能性に気づくことが大事…障害者のアート作品集⑤ アトリエコーナス
大阪市阿倍野区にある知的障害者の生活介護施設「アトリエコーナス」では、午前中の2時間、「アートの時間」として、自由に創作活動ができる時間を設けている。自分のペースで、そして、自由なスタイルで表現した作品は、国内外で高い評価を受けている。9人の作品を紹介する。(作品紹介文は、アトリエコーナスの執筆)
西岡弘治「楽譜 CONTENTS」2005-2007年
1970年生まれ。大阪市在住。楽譜を模写する制作を2005年から始める。クラシックから童謡、アニメソングまで幅広いジャンルの楽譜を模倣する。「楽譜 CONTENTS」は「世界音楽全集ショパン3(春秋社版)」の目次を模写している。楽譜の冒頭が複数描かれ、他の作品と異なった雰囲気を持っており近年では徳島県立美術館で行われた「いきいきと解き放つ命の輝き-アトリエコーナス、片山工房、たんぽぽの家の作家たち」展(2021年)のメインビジュアルの一つとして起用された。
大川誠「Makoot」2007-2016年
1976年-2016年。大阪市出身。2005年から絵画作品と、作家の名前から「Makoot(マクート)」と名付けられたフェルト人形の制作を開始。ため込んでいた感情やエネルギーを押し込めるように、羊毛フェルトを針で刺し固めることによって生み出された作品は、激しいエネルギーの中にユーモアを感じさせ作家自身を表しているようである。2016年、病のため帰らぬ人となったが作品は今なお愛され、国内外で評価され続けている。
植野康幸「ミーンガールズ・コレクション」2021年
1973年生まれ。大阪市在住。2005年より制作を始める。女性や女性が身につけるアイテム(スカートやハイヒールなど)の写真、自分で描いた絵や文字を使ったコラージュを日課とし、それらを元にして絵画作品の制作を行う。中でもアメリカの映画「ミーン・ガールズ」に登場する女性は、作者にとって理想的なモデルのようで度々作品に登場する。同じモチーフであっても毎回丹念に観て、納得するまで描き直す。美を追求し誕生した女性たちには美しさの中に芯の強さを感じる。
吉川真美「童話I」2006年
1977年生まれ。大阪市在住。周りとの会話を楽しみながらゆっくりと筆を進め、1年以上かけて1つの作品を完成させる。モチーフは彼女自身や好きな動物、会話の中の言葉など。時間をかけて描き込むうちに、線と線が繋がり、次第にひとつの塊になる。少しずつ塗り込まれた線と色が作品にふしぎな深度を作りだしている。モノクロ作品以外にもコピックというアルコール性インクペンを利用した色鮮やかな作品も数多く制作している。
河野竜司「無題」2021年
1994年生まれ。大阪市在住。0.4mmほどの細いペンを反復させ、繊細かつ勢いのある線を日々描き続けている。友人と会話したり周りの景色を見ながらペンを動かし、作品から目を離すこともしばしば。また手汗で紙が波打ったり、同じ箇所を描き続けて摩擦で紙が破れることもあり、本人が意図しない画面が生まれる。画面いっぱいに重ねられた複雑な色と線の層は作品と向き合う時間の長さを感じさせる。
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