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後閑愛実&ゆき味「看取りのチカラ」

医療・健康・介護のコラム

「看取りのチカラ」第20話 食べるのがつらくなってきたら 無理をせずに本人の意思を尊重して

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口から食べることの幸せを感じながら

 終末期の患者さんは、たとえ食欲がなくても、「なんとか食べよう」と頑張ることがあります。でも、いよいよつらくなってきたときに、食べることを強要されるのは、苦しみが増すだけです。衰弱が進んできたら、無理をさせずに、本人の意思を尊重しましょう。

 若くて元気な頃は、当たり前にできるので、つい忘れがちですが、口から食べるというのは、とても複雑な行動であり、幸せなことなのです。

 全身が衰弱していれば、当然、口から食べる機能も衰えます。口から食べるということは、栄養をとるだけが目的ではありません。

 おいしいものを味わう幸せには、食事をしながらの楽しい会話、きれいに器に盛り付けられた見た目の美しさなど、食べるということ以外にも様々な幸せがあります。だから、できるだけその幸せを最後まで感じてほしいと思っています。

 しかし、そこにはリスクもあります。

 食べ物で喉を詰まらせたり、嘔吐(おうと)したものや増えた痰(たん)のせいで窒息したりすることもあります。

 異物による気道閉塞(へいそく)を認識したら、せきができるなら、せきを続けるように促します。話したり叫んだりすることができないとか、弱々しいせきや顔色が蒼白(そうはく)になるなどの兆候がある場合は、ただちに対処しないと命に関わります。

 しかし、すでに衰弱が進んでいる状態では、無理な蘇生はしないという選択肢を事前に話し合っておくことがあります。たとえ命を取り留めても、人生を楽しめる健康状態には戻れないかもしれません。つらい症状があれば、そのつらさは取り除きますが、そのまま自然に見送ることもあります。

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mitorinochikara

後閑愛実&ゆき味「看取りのチカラ」
後閑愛実(ごかん・めぐみ)

原案・執筆 後閑 愛実(ごかん・めぐみ)
看護師
 群馬パース看護短期大学卒業後、2003年より看護師として病院に勤務。1000人以上の患者と関わる中で、様々な患者を看取(みと)る。看取ってきた患者から学んだことを生かし、看護師をしながら、13年から看取りの際のコミュニケーション方法について、研修や講演を通して伝えている。著書に「後悔しない死の迎え方」(ダイヤモンド社)。「終活!送る人、送られる人もホッと満足できる本」(明日香出版社)がある。

ゆき味(ゆきみ)

作画 ゆき味(ゆきみ)
マルチクリエーター
 2017年、多摩美術大学卒業後、フリーの作家として、立体造形・映像作品・グラフィックデザイン・漫画制作を中心に活動。漫画やイラストの制作、MV制作、オリジナルキャラクターグッズ、広告やパッケージのデザインなど、幅広い制作を手がける。「まんがでわかるはじめての看取りケア」作画担当。NPO法人さかうえのプロモーション動画「加部安の時計~天明の祈り~」制作、編集担当。19年、YouTubeに「ゆき味アートチャンネル」を開設。

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最後の1週間

アイスクリーム

7月に父を亡くしました。毎日のように施設に顔を出していましたが、提携している病院の看護師さんからも、「(父は)ほぼ食べなくなりました」と言われま...

7月に父を亡くしました。毎日のように施設に顔を出していましたが、提携している病院の看護師さんからも、「(父は)ほぼ食べなくなりました」と言われました。なんとか食べてもらおうとしましたが、食べませんでした。ところがアイスクリームだけは1個全部食べてくれました、そのアイスも最期の日は一口だけでしたが。食道がんでしたので、冷たくて気持ちが良かったのかなと思いました。まさにこの記事の通りで、思い出した次第です。

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